喧嘩して、その勢いのままに婚約破棄を告げられてしまった。~それでも世界は回っている~

四季

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喧嘩して、その勢いのままに婚約破棄を告げられてしまった。~それでも世界は回っている~

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 婚約者と喧嘩して、その勢いのままに婚約破棄を告げられてしまった。

 ……分かってはいる、私にも非はあるのだと。

 でもどうしてかもやもやしてしまう。確かにちょっと言い合いにはなったけれど、でも、その程度で婚約破棄だなんて。普通、軽い喧嘩くらいでそこまでするものなのか? 一旦距離をおいて頭を冷やすとかなら分かるのだが。すべてを叩き壊すような宣言を軽くしてしまえるものなのか? 恋人ではない、婚約者だ。それでもさくっと関係を解消するなんて言えるもの?

 そんなもやもやを抱えながら、自室の窓から空を見上げる。

 黒い、暗い、空。

 見つめていたら吸い込まれてしまいそう。

 ――やがて降り始める雪。

 地面も、宙も、空も黒。
 そこにちらちらとゆったり注がれる雪の白。

 そのコントラストに、胸の奥の小さな傷がじんと痛むような気がした。

 雪が降り出したからか空気がより一層冷たくなったような気がする。

 ――ああ、なんて美しい冬の夜。

 嫌なこと、辛いこと、切ないことがあって。それでも世界は動き続けている。黒と白、それを見つめているだけなのに、こんな夜はこの世の深いところにまで思いを馳せてしまう。


◆終わり◆
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