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後編
しおりを挟む「じゃあ私も言うわ。貴方のこと好きよ」
「言うんだ」
「何よ? どういうこと?」
「いや、ちょっと意外で」
「……いやほんとどういうこと!?」
一方私の元婚約者はというと、高貴な家柄の女性と良い感じになるも順序を守らない行動をとったために相手の親から嫌われてしまい結婚反対され、散々揉めた果てに破局してしまったそう。
だがその女性を諦められなかった彼はストーカーのような行為を繰り返し、最終的には逮捕されたそうだ。
ま、これはこれで自業自得そのものである。
社会的に終わった彼はもうまともな人生を歩めないだろう。
しかしそれも彼の行動ゆえ。
彼以外の誰のせいでもないので、単なる自滅でしかない。
「だってこっちは質問していないのに」
「ああそういうこと……」
「けど、嬉しいよ。そうやって言ってもらえて。夫婦になったからって愛を口にしなくていい、ってことはないと僕は思っているから」
夫婦が仲良くやっていくのは簡単なことじゃない、それは分かっている。
でもなるべく上手くやっていくために。
これからもお互いのことを思いやって生きていきたい。
今在る幸せ、それを壊してしまわないように。
「だから答えてくれるのね?」
「そうだね」
「そっか……でもいいことよねそれって」
「関係の名称が変わったとしても、想いはちゃんと伝えたいんだ」
「……そうよね、きっとそういう小さなことが大事なのよね」
「多分」
「私も! それが理想的よね! これからは良いことはたくさん伝えるようにしようと思うわ」
これからもきっと「私のこと、好き?」と尋ねてしまうだろう。
でもそれ以上に――彼への「好き」を口にしたいと思う。
◆終わり◆
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