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47.成績が明らかに!
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それからもしばらく、花組の教室内には何とも言えない空気が流れ続けた。一度喧嘩のようなことが起きてしまうと、すぐに元通りの楽しい空気にはならない。が、暗雲が漂っていても、それもまたいつかは晴れる。
「じゃア! 今から一人ずつ成績を伝えていくゼィ!」
やがて、タルタルは気を取り直して、そんな発言をする。
「呼ばれたら一人ずつ前に来てくレィ! じゃ、アダール!」
「はい!」
こうして、一人ずつ成績を聞くイベントが始まる。
フレアはひとまず席に着いたまま順番を待つ。
——フレアの番が来たのは、開始から十分以上が経過した頃だった。
「じゃ、次! フレア王女!」
「え」
いきなり呼ばれてフレアは驚く。また、こんなところで『王女』を付けて呼ばれるとは考えていなかったので、そこにも大きな驚きがあった。
「どうしたんダィ?」
「あ……す、すみません。行きます」
フレアは戸惑いつつも椅子から立ち上がる。そして教室の前側へと歩いていく。
「フレア王女の成績だけドゥ……座学の教科は全部点が良かったゼィ!」
タルタルはフレアの成績を簡潔に言い表しつつ、成績表を手渡す。
フレアは軽く一礼しながらそれを受け取った。
「ほ、本当ですか……!」
「そうだゼ。見てみロゥ」
そう言われ、フレアは成績表へ視線を向ける。
教科の名称とA~Eで書かれた成績が記載されている仕組みなのだが、彼女の成績は、半数以上がBより上だった。
ちなみに、Aが一番良い成績でEが最も悪い成績である。
「これなら卒業余裕だゼィ。おめでトゥ」
「あ、ありがとうございます……!」
「Bってことは、七十点以上だヨゥ。よく頑張ってるネ。さすがこの国を担う者だけはあるゼィ」
卒業を約束された成績表を抱えつつ、フレアは自身の席へ戻る。
今、フレアの心は踊っている。
成績表を生徒に渡す会が終わると、教室内の空気は一気に柔らかいものになった。卒業に近づくことができて皆安心したのだろう。心に余裕が生まれた、だからこその柔らかさに違いない。
「リカルド。成績はどうだった?」
深く考えずフレアは尋ねる。
いきなり話しかけられたリカルドは少し驚いたような顔をした。
「まぁまぁだな」
「ふーん。まぁまぁって、どんな感じ?」
敢えて細やかに答える必要もないと思ったのだろう、リカルドは曖昧な答え方をした。しかしフレアは、それでは納得しなかった。彼女はそんな曖昧な答えを聞きたかったわけではないのだろう。
「ったく、他人のことをそんなに気にするなよ」
「ごめん! でもね、大切なリカルドのことだから気になるのよ!」
フレアは笑顔でリカルドを真っ直ぐ見つめる。
曇りのない表情。子どものように純粋な顔。それにやられたのか、リカルドは溜め息を吐き出す。
「……何だ、それは」
ぶっきらぼうに言いつつ、リカルドは一度片付けた成績表を鞄から取り出した。そして、それを片手で持ち、躊躇うことなくフレアの方へと差し出す。差し出されたフレアは意外に思ったらしく、上目遣いで「良いの?」と確認。それに対してリカルドは「見たいんだろ」と返す。さっぱりとした口調で。その後、ようやく、フレアはリカルドの成績表を受け取った。
「何これ! 凄い!」
成績表を受け取って数秒、フレアは大きな声を発した。
周囲からの視線がフレアとリカルドに集まる。それを受けてリカルドは厄介な輩に絡まれたかのように顔をしかめる。注目されるのは嬉しくないようだ。
「剣術A! 格闘術A! 何これ……凄っ!!」
衝撃を受け声の大きさの操作ができなくなってしまっているフレアは、思ったことを豪快に口にする。そのことが周囲からの注目を集めてしまい、結果、間接的にリカルドが注目されることなってしまった。
「それ、リカルドくんの? ふふ。あたしにも見せてちょうだい?」
男嫌いのミルフィのことだ、リカルドの成績自体に興味はないのだろう。ただ、フレアが騒いでいるのを無視することができない。恐らく、それで話に参加してきているといったところだろう。ミルフィの興味関心は、いつだって、可愛い女の子に向いている。
「見てこれ、凄いの」
「あら! ホント! ほとんどがAとBねぇ。意外だわ……」
ミルフィはさりげなく失礼だった。
「意外だった? ふっふっふふー。リカルドは優秀なのよ!」
フレアは誇らしげにそんなことを言う。内容自体は彼女自身のことではないが、まるで自分のことであるかのように自慢している。
「彼が強いのは知ってたわよ? 剣とか。……でも、まっさかここまで優秀だとはねぇ」
ミルフィは感心しつつ息を小さく吐き出す。
「何だ、その疲れたよう振る舞いは」
「は? 何です? いきなり」
「俺が優秀でそんなに悪いか」
「……まーったく、もう。止めてくれます? あたし今喧嘩する気なんてないんです」
相手が男性の場合、少しでも刺激されれば喧嘩の方向へと進めてしまう。それがミルフィだ。しかし今回だけは珍しくそういう方向には進まない。比較的平和的な話の進み方だ。
「ふん。まぁどうでもいいが」
噛み付いてこない相手にまで噛み付いていくリカルドではない。
彼は案外好戦的な質ではないのである。
「そーですか。じゃ、黙ってて下さいねー」
「黙ってりゃ一番か」
「そーなんですよー。何も言わないで下さーい」
「じゃア! 今から一人ずつ成績を伝えていくゼィ!」
やがて、タルタルは気を取り直して、そんな発言をする。
「呼ばれたら一人ずつ前に来てくレィ! じゃ、アダール!」
「はい!」
こうして、一人ずつ成績を聞くイベントが始まる。
フレアはひとまず席に着いたまま順番を待つ。
——フレアの番が来たのは、開始から十分以上が経過した頃だった。
「じゃ、次! フレア王女!」
「え」
いきなり呼ばれてフレアは驚く。また、こんなところで『王女』を付けて呼ばれるとは考えていなかったので、そこにも大きな驚きがあった。
「どうしたんダィ?」
「あ……す、すみません。行きます」
フレアは戸惑いつつも椅子から立ち上がる。そして教室の前側へと歩いていく。
「フレア王女の成績だけドゥ……座学の教科は全部点が良かったゼィ!」
タルタルはフレアの成績を簡潔に言い表しつつ、成績表を手渡す。
フレアは軽く一礼しながらそれを受け取った。
「ほ、本当ですか……!」
「そうだゼ。見てみロゥ」
そう言われ、フレアは成績表へ視線を向ける。
教科の名称とA~Eで書かれた成績が記載されている仕組みなのだが、彼女の成績は、半数以上がBより上だった。
ちなみに、Aが一番良い成績でEが最も悪い成績である。
「これなら卒業余裕だゼィ。おめでトゥ」
「あ、ありがとうございます……!」
「Bってことは、七十点以上だヨゥ。よく頑張ってるネ。さすがこの国を担う者だけはあるゼィ」
卒業を約束された成績表を抱えつつ、フレアは自身の席へ戻る。
今、フレアの心は踊っている。
成績表を生徒に渡す会が終わると、教室内の空気は一気に柔らかいものになった。卒業に近づくことができて皆安心したのだろう。心に余裕が生まれた、だからこその柔らかさに違いない。
「リカルド。成績はどうだった?」
深く考えずフレアは尋ねる。
いきなり話しかけられたリカルドは少し驚いたような顔をした。
「まぁまぁだな」
「ふーん。まぁまぁって、どんな感じ?」
敢えて細やかに答える必要もないと思ったのだろう、リカルドは曖昧な答え方をした。しかしフレアは、それでは納得しなかった。彼女はそんな曖昧な答えを聞きたかったわけではないのだろう。
「ったく、他人のことをそんなに気にするなよ」
「ごめん! でもね、大切なリカルドのことだから気になるのよ!」
フレアは笑顔でリカルドを真っ直ぐ見つめる。
曇りのない表情。子どものように純粋な顔。それにやられたのか、リカルドは溜め息を吐き出す。
「……何だ、それは」
ぶっきらぼうに言いつつ、リカルドは一度片付けた成績表を鞄から取り出した。そして、それを片手で持ち、躊躇うことなくフレアの方へと差し出す。差し出されたフレアは意外に思ったらしく、上目遣いで「良いの?」と確認。それに対してリカルドは「見たいんだろ」と返す。さっぱりとした口調で。その後、ようやく、フレアはリカルドの成績表を受け取った。
「何これ! 凄い!」
成績表を受け取って数秒、フレアは大きな声を発した。
周囲からの視線がフレアとリカルドに集まる。それを受けてリカルドは厄介な輩に絡まれたかのように顔をしかめる。注目されるのは嬉しくないようだ。
「剣術A! 格闘術A! 何これ……凄っ!!」
衝撃を受け声の大きさの操作ができなくなってしまっているフレアは、思ったことを豪快に口にする。そのことが周囲からの注目を集めてしまい、結果、間接的にリカルドが注目されることなってしまった。
「それ、リカルドくんの? ふふ。あたしにも見せてちょうだい?」
男嫌いのミルフィのことだ、リカルドの成績自体に興味はないのだろう。ただ、フレアが騒いでいるのを無視することができない。恐らく、それで話に参加してきているといったところだろう。ミルフィの興味関心は、いつだって、可愛い女の子に向いている。
「見てこれ、凄いの」
「あら! ホント! ほとんどがAとBねぇ。意外だわ……」
ミルフィはさりげなく失礼だった。
「意外だった? ふっふっふふー。リカルドは優秀なのよ!」
フレアは誇らしげにそんなことを言う。内容自体は彼女自身のことではないが、まるで自分のことであるかのように自慢している。
「彼が強いのは知ってたわよ? 剣とか。……でも、まっさかここまで優秀だとはねぇ」
ミルフィは感心しつつ息を小さく吐き出す。
「何だ、その疲れたよう振る舞いは」
「は? 何です? いきなり」
「俺が優秀でそんなに悪いか」
「……まーったく、もう。止めてくれます? あたし今喧嘩する気なんてないんです」
相手が男性の場合、少しでも刺激されれば喧嘩の方向へと進めてしまう。それがミルフィだ。しかし今回だけは珍しくそういう方向には進まない。比較的平和的な話の進み方だ。
「ふん。まぁどうでもいいが」
噛み付いてこない相手にまで噛み付いていくリカルドではない。
彼は案外好戦的な質ではないのである。
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