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前編
しおりを挟む親に散々急かされて、ようやくできた婚約者は変態だった。
馬鹿みたいな話だ。
でもできれば聞いてほしい。
彼アダーブルスは常にはすはす音を鳴らしているような人だ。
身体が悪いわけでもないのに明らかに不自然な呼吸法だし、口のまわりにはいつもコーヒーやケチャップの跡がついているし、まとっている服も最後に洗ったのはいつなのだろうと疑問を抱いてしまうようなもの。
そして喋る時には大量の唾を前向けに飛ばしてくる。
これに関しては悪意はないのだろうが、汚いし、しかもその唾が以上に臭いので最悪である。
そんな彼にある時道端で偶然出会うと。
「ミュミュちゅあぁぁぁぁ~ん! 靴下嗅がせてえぇぇぇぇ~!」
突如そんなことを言いながら追いかけてきた。
ちなみにミュミュというのは私の名ではない。
ただ私はその名前を知っている。
普通考えると浮気相手の女性の名のようだが、彼に関してはそうでもない。
――彼が大事にしている女神像に勝手につけた名前。
それが答えである。
彼はたまに私をその女神像と重ねて合わせて見ていることがある。今回も多分それの一貫だろう。これまではそういう人なのだろうと思って気にしないようにしていたが、屋外で通行人のいるところでそういうことをされるとさすがに恥ずかしくて死にそうだ。
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