1 / 2
前編
しおりを挟む
その日、私は珍しく婚約者アルトスに呼ばれ、呼び出された場所へ向かった。
少し早いかな、と思いつつも、その場所へ行ってみる。
やはりその場所にはまだ誰もいない。が、ふと視線を逸らした時、建物と建物の間のやや薄暗い路地に見覚えのある顔があって。
そう、その見覚えのある顔というのが、アルトスと私の姉だったのだ。
「あ……ん、もうっ……」
「何だ、今さら怖くなったのか?」
「ち、が……」
「いいだろ、どうせここには誰も来ないんだから」
当然、たまたま姉が通りかかったという可能性もある。アルトスが待っている時に偶然出会った、という可能性も、ないわけではない。
しかしそうではないとすぐに分かった。
なぜなら非常に距離が近かったから。
二人は恋人同士であるかのように身をすり寄せている。
たまたま出会っただけならそんな距離感にはならないだろう……。
「ちょ、っと、待ち合わせは……?」
「いいんだよ」
「ええ……?」
「どうせまだ来ないだろ、時間になってないしな」
アルトスと姉は唇を重ね熱い吐息をこぼし合う。
明らかに普通ではない……。
「あの……アルトスさん?」
私は勇気を出して声をかけてみる。
「こんなところで……何をなさっているのですか?」
唇が震えそうだった。
でも勇気を振り絞る。
少し早いかな、と思いつつも、その場所へ行ってみる。
やはりその場所にはまだ誰もいない。が、ふと視線を逸らした時、建物と建物の間のやや薄暗い路地に見覚えのある顔があって。
そう、その見覚えのある顔というのが、アルトスと私の姉だったのだ。
「あ……ん、もうっ……」
「何だ、今さら怖くなったのか?」
「ち、が……」
「いいだろ、どうせここには誰も来ないんだから」
当然、たまたま姉が通りかかったという可能性もある。アルトスが待っている時に偶然出会った、という可能性も、ないわけではない。
しかしそうではないとすぐに分かった。
なぜなら非常に距離が近かったから。
二人は恋人同士であるかのように身をすり寄せている。
たまたま出会っただけならそんな距離感にはならないだろう……。
「ちょ、っと、待ち合わせは……?」
「いいんだよ」
「ええ……?」
「どうせまだ来ないだろ、時間になってないしな」
アルトスと姉は唇を重ね熱い吐息をこぼし合う。
明らかに普通ではない……。
「あの……アルトスさん?」
私は勇気を出して声をかけてみる。
「こんなところで……何をなさっているのですか?」
唇が震えそうだった。
でも勇気を振り絞る。
0
あなたにおすすめの小説
黒の聖女、白の聖女に復讐したい
夜桜
恋愛
婚約破棄だ。
その言葉を口にした瞬間、婚約者は死ぬ。
黒の聖女・エイトは伯爵と婚約していた。
だが、伯爵は白の聖女として有名なエイトの妹と関係をもっていた。
だから、言ってはならない“あの言葉”を口にした瞬間、伯爵は罰を受けるのだった。
※イラストは登場人物の『アインス』です
婚約破棄?から大公様に見初められて~誤解だと今更いっても知りません!~
琴葉悠
恋愛
ストーリャ国の王子エピカ・ストーリャの婚約者ペルラ・ジェンマは彼が大嫌いだった。
自由が欲しい、妃教育はもううんざり、笑顔を取り繕うのも嫌!
しかし周囲が婚約破棄を許してくれない中、ペルラは、エピカが見知らぬ女性と一緒に夜会の別室に入るのを見かけた。
「婚約破棄」の文字が浮かび、別室に飛び込み、エピカをただせば言葉を濁す。
ペルラは思いの丈をぶちまけ、夜会から飛び出すとそこで運命の出会いをする──
聖水を作り続ける聖女 〜 婚約破棄しておきながら、今さら欲しいと言われても困ります!〜
手嶋ゆき
恋愛
「ユリエ!! お前との婚約は破棄だ! 今すぐこの国から出て行け!」
バッド王太子殿下に突然婚約破棄されたユリエ。
さらにユリエの妹が、追い打ちをかける。
窮地に立たされるユリエだったが、彼女を救おうと抱きかかえる者がいた——。
※一万文字以内の短編です。
※小説家になろう様など他サイトにも投稿しています。
第一王女アンナは恋人に捨てられて
岡暁舟
恋愛
第一王女アンナは自分を救ってくれたロビンソンに恋をしたが、ロビンソンの幼馴染であるメリーにロビンソンを奪われてしまった。アンナのその後を描いてみます。「愛しているのは王女でなくて幼馴染」のサイドストーリーです。
幼馴染みで婚約者だった彼に切り捨てられてしまいましたが、自分にできることをしながら生きていたところ意外な良縁に恵まれました。
四季
恋愛
マリエ・フローレニシアとダット・ティオドールは幼馴染みであり婚約者同士。
仲は悪くなかった。
だが、ダットがアレンティーナという女性と仕事で知り合った時から、二人の関係は崩れていって……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる