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前編
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その日、私は珍しく婚約者アルトスに呼ばれ、呼び出された場所へ向かった。
少し早いかな、と思いつつも、その場所へ行ってみる。
やはりその場所にはまだ誰もいない。が、ふと視線を逸らした時、建物と建物の間のやや薄暗い路地に見覚えのある顔があって。
そう、その見覚えのある顔というのが、アルトスと私の姉だったのだ。
「あ……ん、もうっ……」
「何だ、今さら怖くなったのか?」
「ち、が……」
「いいだろ、どうせここには誰も来ないんだから」
当然、たまたま姉が通りかかったという可能性もある。アルトスが待っている時に偶然出会った、という可能性も、ないわけではない。
しかしそうではないとすぐに分かった。
なぜなら非常に距離が近かったから。
二人は恋人同士であるかのように身をすり寄せている。
たまたま出会っただけならそんな距離感にはならないだろう……。
「ちょ、っと、待ち合わせは……?」
「いいんだよ」
「ええ……?」
「どうせまだ来ないだろ、時間になってないしな」
アルトスと姉は唇を重ね熱い吐息をこぼし合う。
明らかに普通ではない……。
「あの……アルトスさん?」
私は勇気を出して声をかけてみる。
「こんなところで……何をなさっているのですか?」
唇が震えそうだった。
でも勇気を振り絞る。
少し早いかな、と思いつつも、その場所へ行ってみる。
やはりその場所にはまだ誰もいない。が、ふと視線を逸らした時、建物と建物の間のやや薄暗い路地に見覚えのある顔があって。
そう、その見覚えのある顔というのが、アルトスと私の姉だったのだ。
「あ……ん、もうっ……」
「何だ、今さら怖くなったのか?」
「ち、が……」
「いいだろ、どうせここには誰も来ないんだから」
当然、たまたま姉が通りかかったという可能性もある。アルトスが待っている時に偶然出会った、という可能性も、ないわけではない。
しかしそうではないとすぐに分かった。
なぜなら非常に距離が近かったから。
二人は恋人同士であるかのように身をすり寄せている。
たまたま出会っただけならそんな距離感にはならないだろう……。
「ちょ、っと、待ち合わせは……?」
「いいんだよ」
「ええ……?」
「どうせまだ来ないだろ、時間になってないしな」
アルトスと姉は唇を重ね熱い吐息をこぼし合う。
明らかに普通ではない……。
「あの……アルトスさん?」
私は勇気を出して声をかけてみる。
「こんなところで……何をなさっているのですか?」
唇が震えそうだった。
でも勇気を振り絞る。
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