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前編
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「アリア・オーフェン! 貴様は良いのは顔だけで可愛さはなく忠実さもないクズだ! よって、婚約は破棄とする!」
私の婚約者であるオブリオは街中の人通りの場所にてそう宣言した。
「あの……顔が良いから婚約したのではなかったのですか?」
婚約が決まった日、彼はそう言っていた。
お前の顔面なら俺に相応しい、と。
「くだらぬ嘘を口にするな!」
声を荒くするオブリオ。
「ですが、婚約を決めた日、そう仰っていましたよね?」
「知るか! 俺はそのようなこと一度も言っていない!」
「……本気で仰っていますか?」
「あぁ、当然だ。俺は本当のことしか言わない」
私は上着のポケットから小型録音機を取り出す。
これは録音魔法を使って製造された音を記録することのできる機械。この中には、婚約の日に彼が言った言葉も記録されている。
「ではこれでも本当と言えますか?」
再生ボタンを押す。
『これまでなかなか良い相手が見つからなくてな。だが、お前の顔面なら俺に相応しい。お前なら素晴らしく整った容姿の俺の隣にいても不自然ではないだろう』
録音した音声が流れる。
周囲にいた人たちはくすくすと笑った。
「もう一度お尋ねしますが、先ほどの主張を変える気はありませんか? ……ありませんよね?」
にやりと笑みを浮かべて彼を見ると。
「う、うるさい! どうでもいいだろ、そんなこと! とっ、とにかく、そういうことだからな! 婚約は破棄するんだっ!」
彼はそう吐き捨てて走り去っていった。
半泣きだった。
……あー、おもしろ。
私の婚約者であるオブリオは街中の人通りの場所にてそう宣言した。
「あの……顔が良いから婚約したのではなかったのですか?」
婚約が決まった日、彼はそう言っていた。
お前の顔面なら俺に相応しい、と。
「くだらぬ嘘を口にするな!」
声を荒くするオブリオ。
「ですが、婚約を決めた日、そう仰っていましたよね?」
「知るか! 俺はそのようなこと一度も言っていない!」
「……本気で仰っていますか?」
「あぁ、当然だ。俺は本当のことしか言わない」
私は上着のポケットから小型録音機を取り出す。
これは録音魔法を使って製造された音を記録することのできる機械。この中には、婚約の日に彼が言った言葉も記録されている。
「ではこれでも本当と言えますか?」
再生ボタンを押す。
『これまでなかなか良い相手が見つからなくてな。だが、お前の顔面なら俺に相応しい。お前なら素晴らしく整った容姿の俺の隣にいても不自然ではないだろう』
録音した音声が流れる。
周囲にいた人たちはくすくすと笑った。
「もう一度お尋ねしますが、先ほどの主張を変える気はありませんか? ……ありませんよね?」
にやりと笑みを浮かべて彼を見ると。
「う、うるさい! どうでもいいだろ、そんなこと! とっ、とにかく、そういうことだからな! 婚約は破棄するんだっ!」
彼はそう吐き捨てて走り去っていった。
半泣きだった。
……あー、おもしろ。
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