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貴方を愛していたのに……。~引き裂かれた二人~

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 ずっと一緒にいようね。

 幼馴染みだった私と彼は昔からよくそんな言葉を掛け合った。
 そして婚約が決まった日も。
 いつまでも永遠にずっと共にあろう、そう誓い、笑い合ったのだ。

 なのに。

「彼との婚約は破棄となった。向こうの家の都合だ。ま、そういうことだから、もう二度と彼のことは考えなくていい」

 父親からそう言われたのを最後に、彼とは連絡が取れなくなった。

 せめて彼の口から聞くたかった。どうして婚約破棄なんてことになったのか。彼の口から聞けたなら、たとえ辛くとも、まだしも納得できるような気がしたのだ。

 でも、もう彼には会えなくて。

 たったひとつの願いさえ叶わなかった。

 どこまでも辛く悲しい。
 こんな終わり方なんて。

 貴方を愛していたのに……。


◆終わり◆
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