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3話
しおりを挟むこうして私は王子エリックとの縁を得た。
でもここは始まり。
この時はまだ気づいていなかったけれど――私はこの日から幸福への道を歩き始めていたのだ。
◆
あのパーティーから二年ほどが経ち、私はエリックと正式に夫婦となった。
「僕のところへ来てくれてありがとう、エリーさん」
「いえ……こちらこそ、ここへ連れてきてくださってありがとうございます」
私とエリックは今純真な愛のただなかにある。
「そんなそんな! 無理を言ったのはこちらで」
「でも、あのような、美しくないドレスを着ていた私だったのに……見つけてくださって、声をかけてくださって、ありがとうございました」
最初は丁寧な接し方をしていたエリックだが、最近では徐々に砕けた態度をとってくれるようにもなってきた。
会話だけ見ても、ここのところは以前より親しげな言葉を使ってくれている。
そういう時、心の距離が近づいていることを感じる。
彼との関係は地味だけれど着実に進展していっているのだ――そんな風に感じられる。
「輝いていたよ、あの日のエリーさんは」
「そう、でしょうか……でも、地味だったと思うのですが」
「誰よりも」
「よく分かりません……」
「やはり人は服装だけではないということだね! 美しさはどんな服を着ていても隠せないものなんだよ、きっと」
ちなみに姉はというと、私が王子に選ばれたことで情緒不安定になっていた。
そんな時、一人の男性から婚約希望の申し出があって。
本人は嫌がっていたようだが流れで彼と婚約することになってしまったそう――しかし姉のわがままさや負の意味での自己中心的さに耐えられなくなった男性は、やがて姉に婚約の破棄を宣言したそうだ。
それによって姉はさらに情緒不安定になったそうで。
以降、引き続き実家で両親と暮らしていたようだが、その生活はかなりとんでもなく荒れていたようだ。
姉は姉で苦労していたのかもしれない。
よく分からない男に振り回されて。
けれども私は、姉が可哀想だとは思わない。
だって彼女はずっと私を虐めてきたのだ。どこまでも心ない人である。それゆえ優しさのない人と出会ってしまったとしてもそれもまた運命だろう。たとえ悪い縁に巡り会ったとしても自業自得。やってきたことがそういう形で返ってきた、というだけのことだろう。
◆終わり◆
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