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婚約破棄でも何でもすればよいのですが、聖女にそんなことをしてどうなるか分かっていないのですか?

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「悪いな、婚約破棄させてくれ」

 目に見えない力を持つフェリーダは聖女と呼ばれている。
 だが婚約者の王子からはあまり好かれておらず、婚約破棄を告げられてしまった。

「なぜですか?」
「本当に愛する人ができたんだ。聖女とはいえ、愛しい人には勝てない」
「婚約の方が先でしたのに、私を捨てるのですね」
「あぁ。悪いが去ってくれ。さらばだ」

 こうして、聖女フェリーダは婚約破棄された。

 その後フェリーダがどこへ行ったのかは誰も知らない。
 城を出てからというもの、彼女を目撃した者は一人もいなかったのである。

 だが、婚約破棄後、王子には不幸なことが起こり続けた。

 まず王子の母親が事故で急死。さらに王子が大切にしていた女性も、突然病に倒れ、数ヶ月のうちに息を引き取った。王子が飼っていた犬も原因不明ながら死亡。しまいに王子は詐欺の被害に遭い、財産も失った。


◆終わり◆
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