上 下
1 / 2

前編

しおりを挟む
「可愛げがなくて好きになれないから、君との婚約は破棄とするよ!」

 白い餅のような顔の婚約者ポポスは急にそんなことを告げてきた。

 驚いたか?
 もちろん。
 何の前触れもなくそんなことを告げられたのだ、驚かずにいられるわけがない。

 ただ、それを悟られるのは少々不愉快なので、悟られないよう気をつけて振る舞うことを心がける。

「そうですか……唐突ですね」
「悪いね」
「いえ。しかし良いのですか? 本気なのですか?」
「うんうん」
「分かりました。では……これで失礼しますね」

 その日、私とポポスの関係は終わった。

 可愛げがない。
 何度も胸の内をこだまする。

 分かっている、可愛げがないことなんて……でも、何とも言えない気分だ。

 ただ、明らかになったことはある。
 私は男性と仲良くしたり結ばれたりすることには向いていない、ということだ。

 それだけははっきりした。

 でも、だからといって落ち込んでいても、きっと何も変わらないだろうし。自信を喪失して落ち込んでいたって何か良いものが生まれるわけではないから。

 だから私は別の道を選ぶことにした。

 私なりの道を見つけるのだ。
しおりを挟む

処理中です...