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episode.89 さらなる刺客
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突如放たれたゼーレの言葉に、私は言葉を失った。何も返せず、ただ、彼の顔を見つめ続ける。
そんな私に、彼は口を動かす。
「驚いた顔をしていますねぇ……ただ、これはまぎれもない真実です」
室内には私とゼーレしかいない。完全な二人きりだ。聞いている者も誰もいないだろう。そんな静まり返った部屋の中、ゼーレの静かな声だけが空気を震わせる。
「べつに、受け止めろとは言いません。貴女にそんな酷なことを求める気はありませんから」
言いながらゼーレは、壁に掛けられた時計をちらりと見ていた。時間を確認しているものと思われる。
その頃になり、ようやく脳が動き出してきた私は、口を開く。
「あ、いえ。ごめんなさい。少しびっくりしてしまっただけよ」
口から滑り出たのは、そんな、何でもないような言葉だった。暫し頭が真っ白になっていた私には、この程度が限界だったのである。
「でも、愛してしまったかもしれないって、どういうこと? 仲良くしたいと思ってくれているなら、それに越したことはないけれど……」
「仲良く? 貴女は本当に子どもですねぇ」
どうしてそんなこと言われなくちゃならないのよ!
……なんて、言えるわけもなく。
「私が求めているのは、そんなものではありません」
「じゃあ、貴方が求めているものは何?」
開始予定時刻まで、あと十分ほど。
この時間になってまだ誰一人来ないというのは妙だが、もうまもなく誰か来るはずだ。ゼーレがここへ来ていた以上、集合場所を間違えているという可能性は低いし、全員が遅刻ということも考え難い。
「私が求めているのは——貴女の隣です」
ゼーレは私の問いに答えた。迷いのない、しっかりとした声色で。
「私の、隣?」
「そうです」
「どうして? 今既に隣にいるじゃない」
意味が分からず首を傾げていると、ゼーレはやれやれといった顔をした。完全に呆れられてしまっている。
だが仕方がないではないか。私の脳では処理しきれないことを言われたのだから。
「まったく……貴女は疎いですねぇ。私が言っているのは、そういう意味ではありません」
「え。違うの?」
「私が言っているのは、物理的な位置のことではなく——」
ゼーレが言いかけた時。
「心の距離、でごわすな」
突如、どこからともなく、聞き慣れない声が聞こえてきた。低く極太の、いかにも男性らしい声質だ。
そして、その直後。
天井の一部がパカッと開き、ドシン、と黒い何かが落下してきた。
黒い何かが落ちてきたのは、部屋の中央辺り。だから、私とゼーレがいる場所からは多少距離がある。しかし、敵の可能性もあるため、油断はできない。
やがてむくりと起き上がる黒い何か。
「ゼーレ、あれは敵?」
「そんな感じがしますねぇ……」
私は椅子から立ち上がった。
もし敵だったなら、怪我しているゼーレを護らなくてはならないからだ。
最悪私一人で戦わなくてはならない可能性もある。そのため、私は、心を強く持つよう意識した。
何が待ち受けるにせよ、心の準備は必要だ。
「まさかここでゼーレ殿の恋心を聞いてしまうとは……」
黒い何かは完全に起き上がる。
その正体は男だった。
髪とそこから繋がるように生えた顎ひげは真っ黒で、まるでゴリラのような男だ。肩と腕の筋肉が抜きん出て発達しているらしく、上半身が山のように盛り上がっている。
そんな彼は、ゼーレをびしっと指差して言い放つ。
「しかーし! 安心していただきたいでごわす!」
何だろう、この人……。
「おいらは他人の恋について、勝手に広めたりはしなーい!」
椅子から蜘蛛型化け物の背へと移ったゼーレは、ゴリラ風の男を鋭く睨む。
「……何者です」
警戒したようにゼーレが聞くと、男は筋肉のついた腕を振り回しながら答える。
「おっと、自己紹介が遅れて申し訳なかったでごわすな。おいらの名はシロ! 黒いけどシロでごわす!」
恐ろしいほど似合わない名前だ、と思った。
「リュビリュビ様の命により、ゼーレ殿を抹殺しに参ったのでごわす!」
その言葉が発された瞬間、室内の空気が急激に引き締まる。
目の前のゴリラのような男——シロは、先日のクロと同じで、ゼーレの命を狙っているようだ。
最近はこんなことばかりで、嫌になってくる。……もっとも、散々狙われてきた私が言えたことではないのだが。
「抹殺……! ということはやっぱり、ボスの手下!?」
「最終的にはそういうことでごわすな」
シロは肩回しを豪快に行い、その後、指をバキバキと鳴らす。威圧的な音だった。
そして彼は、再び、こちらへ指を差す。
「しかーし! おいらが働くのは、正確には、ボスのためではなーい!」
「だったら何のためにこんなことをしに来たの……?」
「教えて差し上げよう! すべては愛しのリュビリュビ様のためでごわす!」
言いきってから、一人満足そうに頷くシロ。
その表情は、すべてに満ち足りたようなもので、凄く幸せそうだった。
「……リュビエの手の者ということですか」
ゼーレは、はぁ、と溜め息を漏らしつつ述べた。今の彼には呆れしかなさそうだ。
「その通りでごわす。しかーし! リュビリュビ様のことを呼び捨てにするとは、許せないでごわす!」
シロは鼻息を荒くして憤慨する。敬愛するリュビエを呼び捨てにされたのが不愉快だったのだろう。しかし、私からしてみれば、『リュビリュビ様』などという愛称のようなもので呼ぶというのも失礼だと思うのだが。
そんなことを考えていると、シロは急に、はっきりと宣言する。
「というわけで、ゼーレ殿。お命、頂戴致す!」
いきなり戦闘体勢をとるシロ。
彼は本気でゼーレを倒すつもりのようだ。
「カトレア……貴女は外へ出て下さい」
「駄目よ! ゼーレも逃げた方がいいわ!」
「もう貴女に……これ以上迷惑はかけられません」
ゼーレは深刻な顔をしていた。
「早く行って下さい」
「嫌よ!」
「意地を張らないでいただけますかねぇ……」
「逃げるなら一緒に!」
彼一人をここへ残して、私だけ逃げるなんて、そんなことはできない。
なんせゼーレは負傷者である。蜘蛛型化け物がいるとはいえ、命を狙っているような者と一対一で戦わせるなど、ありえないことだ。
そんな私に、彼は口を動かす。
「驚いた顔をしていますねぇ……ただ、これはまぎれもない真実です」
室内には私とゼーレしかいない。完全な二人きりだ。聞いている者も誰もいないだろう。そんな静まり返った部屋の中、ゼーレの静かな声だけが空気を震わせる。
「べつに、受け止めろとは言いません。貴女にそんな酷なことを求める気はありませんから」
言いながらゼーレは、壁に掛けられた時計をちらりと見ていた。時間を確認しているものと思われる。
その頃になり、ようやく脳が動き出してきた私は、口を開く。
「あ、いえ。ごめんなさい。少しびっくりしてしまっただけよ」
口から滑り出たのは、そんな、何でもないような言葉だった。暫し頭が真っ白になっていた私には、この程度が限界だったのである。
「でも、愛してしまったかもしれないって、どういうこと? 仲良くしたいと思ってくれているなら、それに越したことはないけれど……」
「仲良く? 貴女は本当に子どもですねぇ」
どうしてそんなこと言われなくちゃならないのよ!
……なんて、言えるわけもなく。
「私が求めているのは、そんなものではありません」
「じゃあ、貴方が求めているものは何?」
開始予定時刻まで、あと十分ほど。
この時間になってまだ誰一人来ないというのは妙だが、もうまもなく誰か来るはずだ。ゼーレがここへ来ていた以上、集合場所を間違えているという可能性は低いし、全員が遅刻ということも考え難い。
「私が求めているのは——貴女の隣です」
ゼーレは私の問いに答えた。迷いのない、しっかりとした声色で。
「私の、隣?」
「そうです」
「どうして? 今既に隣にいるじゃない」
意味が分からず首を傾げていると、ゼーレはやれやれといった顔をした。完全に呆れられてしまっている。
だが仕方がないではないか。私の脳では処理しきれないことを言われたのだから。
「まったく……貴女は疎いですねぇ。私が言っているのは、そういう意味ではありません」
「え。違うの?」
「私が言っているのは、物理的な位置のことではなく——」
ゼーレが言いかけた時。
「心の距離、でごわすな」
突如、どこからともなく、聞き慣れない声が聞こえてきた。低く極太の、いかにも男性らしい声質だ。
そして、その直後。
天井の一部がパカッと開き、ドシン、と黒い何かが落下してきた。
黒い何かが落ちてきたのは、部屋の中央辺り。だから、私とゼーレがいる場所からは多少距離がある。しかし、敵の可能性もあるため、油断はできない。
やがてむくりと起き上がる黒い何か。
「ゼーレ、あれは敵?」
「そんな感じがしますねぇ……」
私は椅子から立ち上がった。
もし敵だったなら、怪我しているゼーレを護らなくてはならないからだ。
最悪私一人で戦わなくてはならない可能性もある。そのため、私は、心を強く持つよう意識した。
何が待ち受けるにせよ、心の準備は必要だ。
「まさかここでゼーレ殿の恋心を聞いてしまうとは……」
黒い何かは完全に起き上がる。
その正体は男だった。
髪とそこから繋がるように生えた顎ひげは真っ黒で、まるでゴリラのような男だ。肩と腕の筋肉が抜きん出て発達しているらしく、上半身が山のように盛り上がっている。
そんな彼は、ゼーレをびしっと指差して言い放つ。
「しかーし! 安心していただきたいでごわす!」
何だろう、この人……。
「おいらは他人の恋について、勝手に広めたりはしなーい!」
椅子から蜘蛛型化け物の背へと移ったゼーレは、ゴリラ風の男を鋭く睨む。
「……何者です」
警戒したようにゼーレが聞くと、男は筋肉のついた腕を振り回しながら答える。
「おっと、自己紹介が遅れて申し訳なかったでごわすな。おいらの名はシロ! 黒いけどシロでごわす!」
恐ろしいほど似合わない名前だ、と思った。
「リュビリュビ様の命により、ゼーレ殿を抹殺しに参ったのでごわす!」
その言葉が発された瞬間、室内の空気が急激に引き締まる。
目の前のゴリラのような男——シロは、先日のクロと同じで、ゼーレの命を狙っているようだ。
最近はこんなことばかりで、嫌になってくる。……もっとも、散々狙われてきた私が言えたことではないのだが。
「抹殺……! ということはやっぱり、ボスの手下!?」
「最終的にはそういうことでごわすな」
シロは肩回しを豪快に行い、その後、指をバキバキと鳴らす。威圧的な音だった。
そして彼は、再び、こちらへ指を差す。
「しかーし! おいらが働くのは、正確には、ボスのためではなーい!」
「だったら何のためにこんなことをしに来たの……?」
「教えて差し上げよう! すべては愛しのリュビリュビ様のためでごわす!」
言いきってから、一人満足そうに頷くシロ。
その表情は、すべてに満ち足りたようなもので、凄く幸せそうだった。
「……リュビエの手の者ということですか」
ゼーレは、はぁ、と溜め息を漏らしつつ述べた。今の彼には呆れしかなさそうだ。
「その通りでごわす。しかーし! リュビリュビ様のことを呼び捨てにするとは、許せないでごわす!」
シロは鼻息を荒くして憤慨する。敬愛するリュビエを呼び捨てにされたのが不愉快だったのだろう。しかし、私からしてみれば、『リュビリュビ様』などという愛称のようなもので呼ぶというのも失礼だと思うのだが。
そんなことを考えていると、シロは急に、はっきりと宣言する。
「というわけで、ゼーレ殿。お命、頂戴致す!」
いきなり戦闘体勢をとるシロ。
彼は本気でゼーレを倒すつもりのようだ。
「カトレア……貴女は外へ出て下さい」
「駄目よ! ゼーレも逃げた方がいいわ!」
「もう貴女に……これ以上迷惑はかけられません」
ゼーレは深刻な顔をしていた。
「早く行って下さい」
「嫌よ!」
「意地を張らないでいただけますかねぇ……」
「逃げるなら一緒に!」
彼一人をここへ残して、私だけ逃げるなんて、そんなことはできない。
なんせゼーレは負傷者である。蜘蛛型化け物がいるとはいえ、命を狙っているような者と一対一で戦わせるなど、ありえないことだ。
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