1 / 4
1話
しおりを挟む私エリーと夫のフィレルは同じ職場にいたことから知り合い結婚した夫婦。
しかし最近関係はあまりよろしいものではなくなっている――いや、厳密には、彼の行動のせいで、である。
というのも、フィレルは少し前から後輩になった女性レネと非常に親しげなのだ。
その件が発生してきてからというもの、家の空気は最悪。
気まずいしこちらからしたら彼が不愉快だし。
そんな状態なので、お世辞にも良い状況の家庭とは言えないようになってしまっている。
「せんぱぁ~い! この書類なんですけどぉ~」
「ああ、見せてみろよ」
「一生懸命ぃ~作ってみたんですよぉ~? どうですかぁ? ああでもあまり酷く言わないでくださいねぇ? 傷ついてしまいますぅ~」
職場では毎日のようにフィレルとレネのいちゃいちゃを見せられる。
「お、いい感じだな」
「ほんとぅですかぁ~?」
「ああ。上出来だ」
「やったぁ~うれすぃ~ですぅ! 褒められちゃったぁ~!」
「こら、調子乗るなよ」
「はいっ! 気をつけますぅっ! ええ、でもぉ、尊敬してるフィレルさんに認められて嬉しいですぅ~」
最初の頃はいちゃいちゃするだけだった。でも段々変わっていって。二人の関係はエスカレート、やがて私に秘密で定期的に会っていろんなところへ行ったり少々いかがわしい場所に踏み込んだりするようになっていっていた。
で、ある時、ついに見てしまった――二人が口づけを交わしてから大人な建物へ入ってゆくところを。
それから私は証拠物を集め始めた。
専門の人にも協力してもらい、フィレルとレネの行為の証拠となるものを収集することにした。
そして、やがて訪れた――運命の日。
その日は会議があった。
職場の人のほぼ全員が参加する会議だ。
――私はずっと待っていた、こういう時を。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
14
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる