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前編
しおりを挟む私には妹がいる。
彼女はとても可愛らしい容姿の持ち主なのだが、その一方で姉である私へは敵意を抱いており、ことあるごとに私のことを虐めてきた。
いつから虐められ始めたのかは覚えていない。
ただ、彼女が少し独立した意識を持つようになった頃には既に、色々な嫌がらせを受けていたような気がする。
すれ違いざまにぶつかってきておいて姉に意図的にぶつかられたと皆に言いふらす。
自分で自分の服を汚しておいて姉に汚されたと親に言い新しい服を購入してもらう。
そのくらいのことは日常茶飯事。
そんな妹――エリフィリエアは、先日、王子と婚約した。
彼女はずっと権力を欲していた。
だから王子と婚約できてとてもご機嫌で。
その日だけは虐められなかったくらい。
だが、ある日、エリフィリエアは号泣して家へ帰ってきた。
「どうしたの!? エリフィリエア!?」
「お母様ぁ……婚約、破棄、されてぇ……もう帰れ、ってぇ……」
「婚約破棄!?」
「きっと、きっと、お姉様のせいだわ……お姉様があの人に嘘を吹き込んだのよ……彼、騙されて……それで、婚約破棄とか、ぁ……」
危うく婚約破棄まで私のせいにされるところだったが。
王子がその理由を国民向けに発表したことで親は少しだけ私を疑わなくなった。
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