無能? ま、そう思うならそう言っていれば良いではないですか。後になればすべて分かって後悔することになるでしょうけどね。じゃ、さようなら!

四季

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前編


 ソレッド王国の王子アイレス・ソレッドと婚約していた私エリーミレはその日彼から直接告げられてしまう。

「エリーミレ! お前のような無能はこの国には要らない! よって、お前との婚約は本日をもって破棄とする!」

 私には魔術の才があった。
 それは生まれつきのもの。
 その才能を国王に認められて、私はここへやって来た――そして、将来国を護るために王子の婚約者となったのだ。

 けれどもアイレスは納得できなかったようで、これまでも、ずっと冷たくされていた。

 だから驚きはあまりない。

 それに、アイレスには、私ではない愛している女性がいるのだ。
 ローズカラーの口紅がよく似合う女性オクリファ、彼女こそがアイレスに誰よりも愛されている人だ。

「お前は魔術の才があるそうだが、今のところまったくもってその様子が確認できない」
「今は平和ですので……」

 私の魔術の才は国を護るためにある。

 それはつまり、この国に危機が迫った時にしか役に立たないということだ。

 平常時、現在のような平和な時には、特別何もできることはない。

 国王とてそれは分かったうえで私をここに据えているのだ――いつか来る未来の危機に備えて。

 しかしアイレスにはそれが理解できないらしい。

「ああ、それはつまり、お前みたいなやつは要らないということだ」
「平和なうちは、ですね」
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