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12話「数年後」

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 数年後。

「ベルリーズ! 準備できたよ!」
「あ、ウェボン。ありがとう、準備してくれて」

 私とウェボンの間には三歳になった第一子、待望の娘がいる。
 今日は三人でピクニック。
 そうはいっても大層なことができるはずもないので、開催場所は近所の公園だけれど。

「サンドイッチはこれとこれで良かった?」
「ええ、いいわ」
「あとはどうしよう? 何か用意しておこうか? ええと……」
「ままぁ! くつしたはかせてぇ!」
「ああ、もう、はいはい。行くから。あ、ごめんウェボン、少しだけ待っていて」
「できることを先にしておくよ」

 子どもがいると色々大変、何かと大変だ。次々やらなくてはならないことが湧いてくる。これをやらなくてはならないのが自分一人だったとしたら、きっともっと、いろんな意味で辛かっただろう。

 けれどもわが家にはウェボンがいる。
 夫が協力的なので助かっている。

 彼の協力もあって、生活を成り立たせられている。

 それにお互いの親も時折やって来ては力を貸してくれて――私は今、多くの人に支えられながら、新米母親として少しずつ物事を学んでいる。

 より良い母となりたい。
 そう思いつつ。
 でも心が壊れない程度にほどほどに。
 日々経験を重ねる。

「ごめん! ちょっと履かせてて、遅くなって」
「いいよ~」
「ここからは用意私がするから、ウェボンはあの子見ててくれる?」
「あ、はーい、オッケー」

 ピクニックは楽しいのだが準備と片付けが大変だ。

 ……でも行きたいから頑張る!

「ベルリーズ、何かあったら言って!」
「うん! ありがと!」

 最低限の言葉でも分かり合い協力し合える、そんな関係になれていて嬉しい。

「じゃあお父さんと遊ぼうか~」
「いや!」
「えええー!? ショックー!?」

 ウェボンは娘に振られていた。


◆終わり◆
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