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前編
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私、貴方とずっと生きてゆけると、そう信じていた頃もあったのです。
でもそれは幻想でしかなかった。私が勝手に信じていただけに過ぎなかったのですね。こんなに早く関係が壊れてしまうなんて、残念なことです。
「どうして……知らない女性が……?」
ある夜のことでした。その日私はどうしても出ていかなくてはならない用事があり外出していました。そして、外も暗くなった時間に、婚約者と同棲している家へと帰ってきたのです。
そこで私は見てしまいました。
婚約者が勝手に見知らぬ女性を連れ込んでいる光景を。
もうじき夫となるであろう人が、家族でも親戚でもない女性を部屋に招いている。それも、大勢ではなく一人だけ。しかも、ただ喋っているだけなんてものではなく、二人きりでがっしり抱き合っている。
「これは浮気というものですか……?」
「ち、違う! 違うんだ、聞いてほしい」
婚約者は焦っているようです。
ですが、それもそのはず。私の家の方が身分が高いので、あちらの不貞行為によって婚約解消ということになれば、あちらは強い罰を受けることとなるでしょう。また、家ごと一気に評判を下げることにもなるでしょう。
もっとも、私も私の家も、彼に問題がなければ何もしないのですけれど。
「何が違うのでしょうか。そんなにしっかり抱き合って」
「こ、これは、その、浮気などではないんだ!!」
そう言いつつも、彼は相手の女性を大事そうに抱えたまま。
まずそこをどうにかしていただきたいものです。
「浮気ではないのですか。では何ですか。不貞行為ですか」
「これは……し、真実の愛! 真実の愛を見つけてしまったんだ! 定めには抗えないっ」
意味が分かりません。
もし仮のその言葉が本物だとしても、順序というものがあるでしょう。
婚約者がいる状況で別の女性を連れ込む、これが真実の愛でしょうか。そんな行為は不幸しか呼ばないでしょう。相手の女性にだって、罪を背負わせるようなもの。中途半端さが悪質です。
「僕たちの婚約は家同士が決めたものだろう? でもこの愛は違う! 僕は今まで本物の愛を知らなかったが、気づいたんだっ。これが真実の愛なのだと!」
婚約者は必死に訴えています。が、それは私に言うべきことではないと思うのですが。なぜ婚約者にそんな話をするのでしょうか。これまた悪質です。不愉快極まりない、というやつです。
でもそれは幻想でしかなかった。私が勝手に信じていただけに過ぎなかったのですね。こんなに早く関係が壊れてしまうなんて、残念なことです。
「どうして……知らない女性が……?」
ある夜のことでした。その日私はどうしても出ていかなくてはならない用事があり外出していました。そして、外も暗くなった時間に、婚約者と同棲している家へと帰ってきたのです。
そこで私は見てしまいました。
婚約者が勝手に見知らぬ女性を連れ込んでいる光景を。
もうじき夫となるであろう人が、家族でも親戚でもない女性を部屋に招いている。それも、大勢ではなく一人だけ。しかも、ただ喋っているだけなんてものではなく、二人きりでがっしり抱き合っている。
「これは浮気というものですか……?」
「ち、違う! 違うんだ、聞いてほしい」
婚約者は焦っているようです。
ですが、それもそのはず。私の家の方が身分が高いので、あちらの不貞行為によって婚約解消ということになれば、あちらは強い罰を受けることとなるでしょう。また、家ごと一気に評判を下げることにもなるでしょう。
もっとも、私も私の家も、彼に問題がなければ何もしないのですけれど。
「何が違うのでしょうか。そんなにしっかり抱き合って」
「こ、これは、その、浮気などではないんだ!!」
そう言いつつも、彼は相手の女性を大事そうに抱えたまま。
まずそこをどうにかしていただきたいものです。
「浮気ではないのですか。では何ですか。不貞行為ですか」
「これは……し、真実の愛! 真実の愛を見つけてしまったんだ! 定めには抗えないっ」
意味が分かりません。
もし仮のその言葉が本物だとしても、順序というものがあるでしょう。
婚約者がいる状況で別の女性を連れ込む、これが真実の愛でしょうか。そんな行為は不幸しか呼ばないでしょう。相手の女性にだって、罪を背負わせるようなもの。中途半端さが悪質です。
「僕たちの婚約は家同士が決めたものだろう? でもこの愛は違う! 僕は今まで本物の愛を知らなかったが、気づいたんだっ。これが真実の愛なのだと!」
婚約者は必死に訴えています。が、それは私に言うべきことではないと思うのですが。なぜ婚約者にそんな話をするのでしょうか。これまた悪質です。不愉快極まりない、というやつです。
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