1 / 1
貴方が信じていた『本当の愛』は偽りのものだったようですね。ですが知りません、それが貴方の人生なのならお好きにどうぞ。
しおりを挟む「貴様なんぞもうどうでもいい! なぜなら本当の愛に出会ったから! よって、婚約は破棄とする!!」
その日は突然訪れた。
婚約者ボロスに婚約破棄を告げられる日。
ボロスは私ではない女性に惚れたようで――それによって私は切り捨てられた。
心変わり。
それもまた仕方ないのかもしれない。
でも辛いことに変わりはない。
しかも、そんなことで婚約破棄までされるなんて……正直驚きだ。
婚約破棄され彼の家を出る。
もう帰ることがない家を背にして歩き出す。
――その帰り道、私は、狼のような見た目の魔獣ルルフルルに出会った。
神々しい白色の毛並みの狼風魔獣。
私はその触り心地に惚れた。
彼は私の心を一瞬にして奪ったのだ。
◆
あれから数年。
私は今、ルルフルルの世話係として生きている。
『本日もご苦労』
「痒いところはありますか?」
『無い』
「そうですか。では全体的にやっていきますね」
『よろしく頼む』
生まれた世界とは異なる世界での生活にももう慣れた。
今ではここでの暮らしの方が快適だ。
『そこ、そこ』
「右耳の後ろ好きですよね」
『ああ』
「もっと続けますね~」
『良い』
ちなみにボロスはというと、あの後相手女性が金目的で近づいてきていただけだったことを知ってしまい絶望して死を選んでしまったそうだ。
どんな事情であれ、誰かが死を選ぶのは悲しいこと。
でも、正直、彼にはあまり同情できない。
『耳掻きも頼む』
「はい」
『わく、わく』
◆終わり◆
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
7
この作品の感想を投稿する
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる