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前編
しおりを挟むこの国で長く語られる『安寧の女神』の生まれ変わりだった私は、幼い頃から国によって保護され、温かな人たちの中で育ってきた。
そして、ある程度の年齢になると、年が近く幼い頃から仲良かったオーガス王子と婚約。
流れに乗せられて、という部分も多少はあったけれど、人の生とは大体こんなものだろうと思っていた。
一般人でも、親が決めた相手と、ということもあるのだし。
それに比べればまだ良い方だと思えた。
まったく知らない人と婚約させられ結婚させられるなら厳しさもあるかもしれないけれど、昔から知っている彼となら仲良く上手くやっていけるだろうと思ったのだ。
実際、オーガス王子とはお互い仲良しで、婚約が決まった時も「良かったね」と言い合えた。
だが、婚約から数ヶ月が経ったある日、彼から急に告げられてしまう。
「悪いけど、君との婚約は破棄するよ」
オーガスはきっぱり言ってきた。
何の前触れもなかったのに。
でも……。
彼の心はもう決まっていて、迷いなんて一切ないようだった。
「そんな、どうして……」
「君のことが嫌いになったんだ」
「酷い……」
ずっと仲良しだったのに。
「じゃあな、ばいばい。あ、そうだ、城からも出ていってくれよな」
「城から!?」
「ああ。もう要らないんだよ、君は」
「待って! 急にそんなこと言われても!」
「いいから出ていけよ」
こうして私は追放された。
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