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2話
しおりを挟むカインスは愛する女性の言葉、フィーナの言葉しか、信じようとしない。
きっと彼は真実を知りたいとは思っていないのだろう。
だからこちらの発している言葉を平気で遮ることができるのだ――それは間違いない。
カインスとしてはフィーナが聖女であったくれた方が都合がいい。なぜって、そうなればフィーナと結婚できるから。人間誰しも信じたい話こそを信じてしまうものだ、だから、今の彼は私の話など一切耳に入れず彼女の言葉だけを真実として疑いもせず聞いてしまっているのだろう。
「リオネーレ、お前のような嘘つき女の顔は二度と見たくない。とっとと消えろ。この国からも去れ。お前など我が国にはまったくもって必要ないのだ」
――こうして私は婚約破棄されたうえ国外追放までされてしまったのであった。
◆
「リオネーレさん、ですね」
だが、捨てられた私に、救いの手が差し伸べられる。
「え? あ、はい……」
「少しお話させていただきたく思っていることがありまして」
「どうぞ……私でよければ」
「貴女は聖女であると聞きました。どうか、そのお力、我が国の繁栄のために使ってはくださいませんか?」
行き場を失い彷徨っていた私に接近してきてくれたのは隣国の王ミッシェルであった。
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