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1話
しおりを挟む私は昔から大人しいタイプの女で、いつも部屋のすみっこにいた。
友人もあまり多くはなかった。
それでも何人かはいたし、数少ない友人とは深く仲良しになる感じではあったのだけれど。
それでもあまり目立つ方ではなくて。
地味ね、とか、パッとしない、とか、周囲から嫌みのようなことを言われたことも多々あった。
そんな私だったから、初めてできた婚約者の彼プルトニーコフからもあまり良くは思われておらず。婚約はしたものの、ほぼ無視されていた。こちらから会いたいと言ってみたことも数回はあったけれど、それすらも相手にされず、返事が来ることさえないくらいだった。
だが、そんなプルトニーコフが、急に呼び出してきた。
――その時既に嫌な予感はしていた。
そしてそれは見事に的中することとなる。
「ニリア、君とこれからも長く付き合おうとはとても思えない。よって、婚約は破棄とする」
プルトニーコフは会うなりそう告げてきた。
「時間が経てば君の魅力に何か少しくらいは気づけるかもしれないと思っていたが、どうやら、それすらも無理そうだ」
こうして対面する時、彼はいつだって退屈そうな顔をしている。
きっと私のことなんてどうでもいいのだろう。
彼の顔からはその感情がひしひしと伝わってくる。
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