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前編

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 私には両親が勝手に決めた婚約者がいる。
 彼の名はマルス・ブレックファストという。

「君と生きていくなんてやはり考えられない。よって、君との婚約は破棄とする」

 金髪ショートヘアの彼は私を真っ直ぐに見据えて述べた。

「婚約破棄……ですか? いきなりですね」
「そうだよ」
「あの……すみませんが、理由を聞かせてください」

 すると彼は青い瞳でこちらを睨んだ。

「うるせぇな消えろよ」

 心ないマルスはそう言って私を切り捨てた。

 その後実家へ帰るかどうか迷った。だって私の居場所はそこしかないから。だが私は、思考の果てに、実家へは帰らないことを選択した。

 親はきっと言ってくるだろう、感じ悪いことを。

 だからもう両親には会いたくない。

 私は行くあてもないが旅立つことにした。
 どんな未来になったとしても、両親に嫌みを言われたり怒られたりするよりはいい。
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