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前編
私とエリオスは婚約者同士だった。
しかしある時エリオスがプレシア姫と裏でこっそり付き合っていたことが発覚。
それによって激怒したプレシア姫の父親――つまり国王は、「責任を取れ!」といってエリオスに私との縁を切ってプレシア姫と婚約し直すように言った。
そして私は捨てられた。
「ごめんな、こんな感じで。じゃ、さよなら」
最後に彼が私へかけた言葉はそんなものだった。
でも彼は嫌ではなさそうで。
むしろどこか嬉しそうな顔をしていた。
――そう、だって、彼は私よりプレシア姫を愛していたのだ。
彼は私をそれほど必要としていなかった。婚約していたから一応そのままにしていただけで。婚約者同士という関係を終わらせる決定的な理由がない、それだけで続いていた二人の関係だ。だから、彼からすれば、婚約破棄させられても特に苦痛はなかったのだろう。
いや、むしろ、内心喜んでいたくらいかもしれない。
だがその後二人が幸せになれたかというとそうではなかった。
結婚までは順調に進めたが、その後、第一子を生む際にプレシア姫は出血して亡くなった。
そうして、子とエリオスだけが遺されて。
子は姫の血を引く者なので王家に残されることとなったが、一方で、エリオスはもう必要ないとして王家から追い出されたようだった。
それから少しして、一度、エリオスが私の家へやって来たことがあった。
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