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1話

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「リリエンベルグさん、ちょっといいかしら?」

 今日もまた厄介な者が近づいてきた。
 五十代くらいの女性、彼女は私の婚約者アダムスの母親だ。

「何かご用でしょうか」
「あらぁ、相変わらず酷いのねぇ。私は貴女の義理の母なのよ? いいじゃない、ちょっとお話するくらい」

 アダムスの母親は笑みを浮かべている。

 しかしその笑みに騙されてはならない。

 彼女は笑みを浮かべつつ近づいてきては私を虐めてくるのだ。
 いつもそう、私を虐める時には彼女は笑っている。

「今は無理です。すみません」

 私はさっさとその場から離れた。
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