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後編

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 その後私は実家へ戻り、母親の実家が営んでいる宿屋へ行って手伝うようになる。そして、そこで知り合った宿屋の常連客の青年と親しくなった。彼は権力者の息子なのだそうだが、親に反発し、今は勝手に一人旅をしているらしい。そんな彼と、私は結婚した。

「親には会わせない、それでいいかな?」
「構いません。むしろその方がありがたいです」
「良かった。……不安に思われるかと心配していたから」
「お気遣いありがとう。でも、大丈夫ですよ」

 彼と親と関わることはなかったけれど、二人、幸せに生きていった。

 そういえば。

 これは、婚約破棄から十数年が経った頃に親から聞いたことなのだが。
 ワプルディは私との婚約を破棄してから理想の女性を求め続けていたらしいが、結局見つからず、誰かと結婚することもないままやや若めで亡くなったそうだ。


◆終わり◆
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