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前編
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そこそこ良い家に生まれ大切に育てられてきた私だったが……。
「アオイ・フリューランス! 貴様との婚約、破棄とする!」
第二王子カッカから婚約破棄を告げられた。
「あらあら……可哀想に……」
「可哀想? あなた知らないの? あの女、悪女なのよ」
「ルルレさんを虐めていたんですって」
「ええ……じゃ、仕方ないわね……」
私は嵌められたのだ。
彼の愛人のような女性ルルレに。
カッカは私がルルレを虐めていたと信じている。いや、カッカだけではない。彼のみならず、彼の周囲も、ルルレが広めた嘘の話を信じ込んでしまっているのだ。ルルレには、喋るだけで嘘も本当にするような不思議な才能があった。
「貴様がそこまで性悪女だとは思わなかったぞ」
「何度も申し上げておりますが、私は虐めていません」
カッカは少しも聞いてくれない。
しかも化け物でも見るかのような目でこちらを見てくる。
「いい加減諦めたらどうだ? しつこいぞ」
「……なぜ聞いてくださらないのですか」
「聞く必要などない! 悪女の言葉など誰も聞かないぞ!」
「なら、せめて、私が彼女を虐めていた証拠を出してください」
すると。
「ああ分かった! そこまで罰を受けたいなら受けさせてやろう! 王子への反逆の罪によって、貴様を今年度の生け贄とする!」
そんなことを宣言されてしまった。
この国には、一年に一人魔王へ誰かを差し出すという制度がある。
差し出されるのは大抵女性だ。
「アオイ・フリューランス! 貴様との婚約、破棄とする!」
第二王子カッカから婚約破棄を告げられた。
「あらあら……可哀想に……」
「可哀想? あなた知らないの? あの女、悪女なのよ」
「ルルレさんを虐めていたんですって」
「ええ……じゃ、仕方ないわね……」
私は嵌められたのだ。
彼の愛人のような女性ルルレに。
カッカは私がルルレを虐めていたと信じている。いや、カッカだけではない。彼のみならず、彼の周囲も、ルルレが広めた嘘の話を信じ込んでしまっているのだ。ルルレには、喋るだけで嘘も本当にするような不思議な才能があった。
「貴様がそこまで性悪女だとは思わなかったぞ」
「何度も申し上げておりますが、私は虐めていません」
カッカは少しも聞いてくれない。
しかも化け物でも見るかのような目でこちらを見てくる。
「いい加減諦めたらどうだ? しつこいぞ」
「……なぜ聞いてくださらないのですか」
「聞く必要などない! 悪女の言葉など誰も聞かないぞ!」
「なら、せめて、私が彼女を虐めていた証拠を出してください」
すると。
「ああ分かった! そこまで罰を受けたいなら受けさせてやろう! 王子への反逆の罪によって、貴様を今年度の生け贄とする!」
そんなことを宣言されてしまった。
この国には、一年に一人魔王へ誰かを差し出すという制度がある。
差し出されるのは大抵女性だ。
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