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前編
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「お前、魔女なんだろ」
生まれつき魔力を持っていた私は昔からよくそんなことを言われた。
言っている者は冗談半分だったのかもしれない。
けれどもそう言われ虐められているこちらからすれば冗談だなぁで済ませられるわけもなかった。
魔力を持っている者、と、魔女、は、そもそもまったくもって異なる存在。
多くの人がそこを理解していない。
何も知らないからそんなことが言えるのだ。
無知とは恐ろしい。
◆
今年二十歳になるのだが。
「お前、魔女なのだろう」
今日。
婚約者フルーフルから聞きなれた言葉をかけられてしまった。
またそれか、という感じだ。
その言葉は聞き飽きた。
「違います。魔女ではありません。そもそも、魔力を持っているというのと魔女というのは同じ意味ではなくて……」
「同じようなものだろうが」
「違います! 魔力を持っているだけの私のような者は人を傷つける術は使いません!」
説明しようとするがフルーフルは聞いてくれない。
「まぁいい。そういうことだから……婚約は破棄とさせてもらう!」
あぁ、まただ。
また、魔力を持っていて損をした。
でももう心は揺れない。
魔力を持って生まれ損をする痛みには慣れているから。
どうして普通に生きられないのだろう。
そういう悔しさはあるけれど。
でもだからといって号泣したりすることはない。
「二度と我が家に顔を出すな、と母が言っていた。そういうことだから。じゃ、な」
生まれつき魔力を持っていた私は昔からよくそんなことを言われた。
言っている者は冗談半分だったのかもしれない。
けれどもそう言われ虐められているこちらからすれば冗談だなぁで済ませられるわけもなかった。
魔力を持っている者、と、魔女、は、そもそもまったくもって異なる存在。
多くの人がそこを理解していない。
何も知らないからそんなことが言えるのだ。
無知とは恐ろしい。
◆
今年二十歳になるのだが。
「お前、魔女なのだろう」
今日。
婚約者フルーフルから聞きなれた言葉をかけられてしまった。
またそれか、という感じだ。
その言葉は聞き飽きた。
「違います。魔女ではありません。そもそも、魔力を持っているというのと魔女というのは同じ意味ではなくて……」
「同じようなものだろうが」
「違います! 魔力を持っているだけの私のような者は人を傷つける術は使いません!」
説明しようとするがフルーフルは聞いてくれない。
「まぁいい。そういうことだから……婚約は破棄とさせてもらう!」
あぁ、まただ。
また、魔力を持っていて損をした。
でももう心は揺れない。
魔力を持って生まれ損をする痛みには慣れているから。
どうして普通に生きられないのだろう。
そういう悔しさはあるけれど。
でもだからといって号泣したりすることはない。
「二度と我が家に顔を出すな、と母が言っていた。そういうことだから。じゃ、な」
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