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1話
しおりを挟む婚約者で王子でもある彼エルリッヒは浮気していた。
私という婚約者がいる身でありながらリリアナという元掃除婦の女性とも深い仲になっていたのだ。
そして、そんなある日。
「ミレニア! 貴様、リリアナの頬をはたいたそうじゃないか! まさかお前がそのような暴力女だとは思わなかったぞ」
とある晩餐会にて、エルリッヒは攻撃的な視線を向けてくる。
「よって! 婚約は破棄とする!」
嘘だ。あり得ない。そんなこと、私はしていない。いくら裏切りの加担者であるとしても。それでも私は暴力に訴えるような野蛮なことはしないし、実際手を出したりはしていない。
恐らくリリアナが嘘を吹き込んだのだろう。
「私はそのようなことはしていません! 嘘か、勘違いか、です!」
「何だと? リリアナが嘘つきだと、貴様はそう言うつもりなのか……? 馬鹿なことを言うな! どうして貴様はそんなにも心が汚いんだッ!!」
しかしこれは……もうどうしようもなさそうだ、だってエルリッヒは聞く耳を持っていないようだから。
私が何を言ってもきっと彼は理解してはくれないのだろう。
なんせ彼は完全にリリアナの味方だ。
だから最初から私の言葉なんて聞く気はないのだ。
「目撃情報でもあるのですか? はたいたところ。どなたかがその場面を目撃されたのですか?」
「リリアナが言ったんだ!!」
「え……」
「リリアナが言っていた! よってそれが事実! それ以外の言葉は嘘だ、そうに決まっている……少なくとも貴様の言葉を信じる義理はない! リリアナを虐めるような悪女を信じるなど、絶対にないからな!!」
エルリッヒは荒れ狂う。
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