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こんなクソみたいな世界、終わらせてあげるわ。

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 生まれからして不愉快だった。

 私が生まれた時には両親は既にお互い不倫を繰り返していて夫婦仲は最悪だったのだ。

 そんな家庭では子が愛されるはずもなく。
 私はいつもごみくずのような扱いで。
 母には舌打ちをされ、父には生まれてきやがってなどと言われ。

 とにかく最悪だった。

 そして、婚約者からは「可愛げがない」だの「もっと忠実であれ」とか毎日のようにぐちぐち言われ、これまた不運。

 可愛げ? 知るか。ごみくずのように扱われてきた私にそんなものを求めるな。

 この世はどこまでも理不尽だ。
 正直、この世界は神が嫌がらせを楽しむためだと思う。

 やがて婚約破棄された私は、森へ散歩に出掛けたところ運悪く沢のようなところへ入り込んでしまい、その後の大雨によって死亡した。

 が、結果的には幸運だった。

 一度死んだ私は人を遥かに越えたような力を手に入れたのだ。
 神になったと言っても過言ではない。

 私はその力を使って、あの世界を終わらせることにした。


 ◆


 嵐によってすべては押し流され、次々の起こる災害のせいで食糧は手に入らず、多くの人間が亡くなった。

 私をことあるごとに傷つけてきた両親は食糧不足によって散々苦しんだうえ死亡した。
 私との婚約を破棄した彼は、食べ物不足によって町へ出てきた熊に襲われて落命し餌となった。

 私は今……すっきりした気持ちだ。


◆終わり◆
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