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前編

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「本日をもって、君との婚約は破棄とする!」

 ある日のこと、婚約者ビューブルーマンからそう宣言された。

 宣言した彼が自慢げな顔つきをしているのが若干不愉快だ。
 婚約破棄することの何がそんなに楽しいのか。

 とはいえ、ここで私が何か言い返しても、きっと意味はないだろう。むしろ変な方向性に受け取られ勘違いされてしまう危険性もある。

「そうですか……分かりました。では私はこれで去りますね」

 だから婚約破棄を受け入れることにした。

 幸い、彼と別れて損する要素は私にはない。
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