あたしとノアと

四季

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後編

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「商品番号って何? おかしいじゃん、何の商品番号よ!?」
「え? だから僕のー……」

 あたし、その時になって初めて気づいたの。ノアの肩翼に値札がついていたことに。

「アンタ、もしかして売りに出されたの?」

 ……ノアも家族がいないんだ。一瞬はそう思って切なくなったけど。

「うん。ジェシカ、買うー?」

 目の前にいる薄紫の髪の天使があまりに呑気なものだから、切なさは塵になって消えちゃった。

「僕こんな性格だから売れ残ってたんだー。あまり仕事できないしねー」
「……後払いでいいなら。あたし、今お金持ってないし」

 そっけなく言ったけど、ノアはとても嬉しそうな顔をした。

「いいよー。天使一匹、お買い上げありがとうございますー。僕の羽を全部売れば、そのお金で後払いできるよー」

 ノアは本当に馬鹿げたやつ。天使が羽を抜かれる時どんなに痛いと思ってんの。

「ちょっと、止めてよ! 怖いこと言わないで!」

 羽を全部抜くとか、痛すぎて途中で失神するに決まってるじゃん。ホント馬鹿だよ、ノアは。
 でも、無意識に笑ってる自分に気がついた。今まで笑うことなんてなかったのに、ノアと出会ってからは自然に笑ってた。


「ねぇ、ノア。あたし、いつかアンタと家族になりたい」
「うん。いいよー」

 ちょっと待って。何でそんなあっさり!?

「家族になるには確か、結婚するんだよねー。僕はジェシカと結婚していいよー」
「……違う。そうじゃなくて」

 誰かと一緒に暮らしたいんだ。信頼できる仲間が欲しい。笑いあったり、泣いたり、喧嘩したり。

「これからもこんな風に一緒に話したりしたいってこと」

 ただそれだけのこと。

「うん。もちろんいいよー。僕も楽しいしー。これからはずっと一緒にいようねー」


 こうしてあたしとノアの生活が始まったの。

◇終わり◇
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