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後編

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 それからモビエラは別荘近くで空を飛ぶようになった。
 高いところから見える美しい景色は彼女の心を何より癒やした。

 そして、出会いもあった。

「きみ、人間なのに飛べるんだね」
「……鳥人族の血を、引いておりまして……実は」
「美しい飛び方だね」
「その……すみません、なんというか……」

 モビエラが出会ったその少年は鳥の神であった。
 二人はよく空で会い語り合うようになる。
 そうしているうちに徐々に親しくなっていって。

「モビエラ、将来……きみと、一緒に生きたい」

 ちょっとしたきっかけで知り合うこととなった二人だったが、いつしか特別な二人へと変わった。

「私もです」


 ◆


 数年後。
 鳥の神は大人の男性の姿となってモビエラの前へ現れた。

 そして結ばれた。

 二人は今も定期的に一緒に空を飛ぶ。
 鳥の群れと戯れることもある。
 そして、日頃は、人里から離れた別荘にて穏やかに暮らしている。

 モビエラはとても幸せになっている。

 一方ココはというと、モビエラを切り捨てた数ヶ月後に、ぶりっこで周囲の女性陣から凄く嫌われている女性と結婚した。しかし女性は結婚するや否や豹変し、急激に攻撃的になって。結果、ココは女性から毎日のように罵倒されるようになってしまう。

 最初のうちはココも言い返していたのだが徐々に圧倒され、次第に何も言い返せないようになっていって。
 しまいに心を病んでしまった。

 だが容赦ない妻からは今でも暴言を吐かれ続けている。


◆終わり◆
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