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後編
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それからルルカはしばらくこの家にいることになった。
婚約破棄されたことを親に話すのが怖いらしい。
親から何を言われるか分からないからだとか。
取り敢えず、私は、ルルカを励まそうと思う。
彼女からたくさんの楽しさを貰った。
だから今はお返しする時だ。
◆
あれから一ヶ月。
ルルカは段々元気になってきた。
「本当にありがとう……迷惑かけてごめんねマリア」
「ううん!」
「……本当に、本当に……ありがとう」
先日手に入れた情報。
そろそろ彼女に伝えても良いかもしれない。
「ねえルルカ。ルルカの婚約者だった人の話、聞いた?」
「え、聞いてない」
聞きたくないと言ったらやめようと思っていたのだが、ルルカは興味ありげな顔をしていた。
これなら話しても良さそうだ。
「子どもができた女の人と上手くいかなくて別れたんだって」
「え……そうなんだ」
「また他の女の人と遊んでたんだって」
「……そっかぁ、懲りないなぁ」
彼女はソファに座ったまま苦笑する。
「お金も取られて、今は恥をかきながら生きているみたいね」
「そう……」
「こんなこと言うと失礼かもしれないけれど、私は良かったと思う」
「え?」
「ルルカみたいな素敵な女性は、浮気男には相応しくないと思うの」
これは本心だ。
「だからさ、これからここで穏やかに暮らそうよ」
迷ったがそこまで言えた。
するとルルカは遠慮がちに頷く。
「大丈夫そうなのなら……うん、ぜひ」
こうして私はルルカと暮らせることとなった。
のんびりライフの始まりだ。
◆終わり◆
婚約破棄されたことを親に話すのが怖いらしい。
親から何を言われるか分からないからだとか。
取り敢えず、私は、ルルカを励まそうと思う。
彼女からたくさんの楽しさを貰った。
だから今はお返しする時だ。
◆
あれから一ヶ月。
ルルカは段々元気になってきた。
「本当にありがとう……迷惑かけてごめんねマリア」
「ううん!」
「……本当に、本当に……ありがとう」
先日手に入れた情報。
そろそろ彼女に伝えても良いかもしれない。
「ねえルルカ。ルルカの婚約者だった人の話、聞いた?」
「え、聞いてない」
聞きたくないと言ったらやめようと思っていたのだが、ルルカは興味ありげな顔をしていた。
これなら話しても良さそうだ。
「子どもができた女の人と上手くいかなくて別れたんだって」
「え……そうなんだ」
「また他の女の人と遊んでたんだって」
「……そっかぁ、懲りないなぁ」
彼女はソファに座ったまま苦笑する。
「お金も取られて、今は恥をかきながら生きているみたいね」
「そう……」
「こんなこと言うと失礼かもしれないけれど、私は良かったと思う」
「え?」
「ルルカみたいな素敵な女性は、浮気男には相応しくないと思うの」
これは本心だ。
「だからさ、これからここで穏やかに暮らそうよ」
迷ったがそこまで言えた。
するとルルカは遠慮がちに頷く。
「大丈夫そうなのなら……うん、ぜひ」
こうして私はルルカと暮らせることとなった。
のんびりライフの始まりだ。
◆終わり◆
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