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前編

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「お前と来ていくのなんか無理だわ。てことで、婚約破棄するから。ばいばい」

 黒髪の婚約者フルベータはある日突然そんなことを言ってきた。

 いきなりなうえ失礼だ。
 不愉快な思いをした。

「待ってください、その言い方は失礼です」
「はぁ?」
「婚約破棄はともかく、そういう言い方は感じが悪いのでやめてください」

 すると彼は激怒した。

「うるせぇな! これでもぼかして言ってやってんだよ! なら本当のことそのまま言ってやろうか? あぁ? お前みたいな価値無し女を貰うなんぞぜーってぇーに嫌だって思ってんだよ!! そもそもなぁ! 絶世の美女で性格満点俺への忠誠心満点じゃねぇと俺にはつりあわねーんだよ!!」

 ……呆れた。

「ま、良いでしょう。婚約破棄、受け入れましょう」
「分かったか、ばーか」
「ではさようなら……フルベータさん」

 こうして私たちは別れた。

 慰謝料は支払ってもらった。
 ちなみにこれは後に知ったのだが、慰謝料を支払ってくれたのは彼の両親だったようだ。
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