わたくしこそが悪役令嬢! 〜あなたを手に入れるためなら何でもしますわ〜

四季

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後編

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 その日からわたくしは落ち込みました。何をしていても淡々と返されたことを思い出してしまって、毎日気が沈んで仕方ありませんでしたわ。朝起きた瞬間から、胸の内は雨降りの空のよう。他人と目を合わせることすら苦痛。好きだった食べ物すら喉を通りませんでしたわ。

 ただ、そんな日々の中で気づきましたの。

 フロイドに好きな人がいるなら、その好きな人を消してしまえば良いのだと。

 それに気づいた時、神に出会ったような気持ちになりましたわ。それはまるで、雨上がりの空にかかる虹のよう。わたくしにも救いの手が差し伸べられたのだ、と、心から嬉しく思いましたの。

 以降、わたくしは着実に調査と準備を進めましたわ。

 そして、ある日の夕暮れ、庭で寛いでいたフロイドの想い人を殺害しましたの。

 想い人を突然亡くしたフロイドは来る日も来る日も号泣していました。できればこれをきっかけに仲良くなりたい、と考え、彼を励まそうと寄っていったのですけれど……このような状況になっていてもなお、彼はわたくしを拒みました。

 彼の心には彼女だけ。
 わたくしが入る隙はない。

 たとえ彼女が亡くなっていなくなっても、彼の心が彼の愛がわたくしへ向くことはなかった。悲しいことですけれど、それが現実でしたわ。

 愛する人を失ってしまった彼はやがて精神を破壊されてしまって。あっという間に、まともには生活できない状態になってしまったようでしたわ。わたくしは心配しているようなふりをして時折彼に会いに行ったのですけれど、彼はわたくしのことを少しも見ようとはしませんでした。彼はもう完全に壊れてしまっていた。それは、決して変わることのない事実でしたの。

 あの時、貴方がわたくしのことを見てくれていれば、彼も彼の想い人の彼女も死なずに済んだのに……何とも残念なことですわね。


◆終わり◆
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