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2話
しおりを挟む「ああそうだ」
「そんな。……あまりに急過ぎやしませんか」
「そうかもな。だが心はもう決まっている。今さら何も変わりはしない」
「……本気、なのですね」
「もちろん。本気に決まっているだろう。それ以外に何があると思ったんだ? 逆に謎でしかない」
レベクトゥスが言葉を紡ぐたび寂しさを感じる。
それは多分彼の声が冷ややかなものだから。
そんなだから突き放されているような寂しさを感じるのだと思う。
「これからはそれぞれで生きていこう」
「……もう戻る気はないのですね」
「当たり前だろう? そんな気があるならこんなことは言わないさ」
「そうですよね……」
「いいか? もう終わりだ。じゃ、そういうことで。さようなら」
その言葉が終わりを告げる。
私たちの関係は終わってしまった。
◆
その年の瀬、たまたま遊び感覚で一枚だけ買った宝くじ。
それがまさかの当たりで。
しかも一等で。
その当たりによって凄まじい額が飛び込んできた。
ちっとも想像していなかったことだが、一気に大金持ちになってしまう。
友人の中には私から離れていってしまった人もいたけれど、逆に、再び近寄ってくる人もいて――その中にはレベクトゥスも入っていた。
「凄いな! 当たったそうだな!」
「え。あ、はい」
「それだけ資産があるなら話は別だ、結婚しよう!」
レベクトゥスは凄まじい勢いでやり直すことを求めてくる。
でも今は冷めた目で見てしまう。
金目当てだと分かるから。
「え……」
「いいだろ?」
「ええっ……」
「はいと言ったな? じゃ! 早速、もう一度婚約しようじゃないか!」
無理に話を進めようとするレベクトゥス。
もう滅茶苦茶だ。
「ま、待ってください! はい、なんて、言っていません!」
「ん?」
「それに、私は、貴方とやり直す気なんてありません」
「何だと? ……生意気な」
「婚約破棄しておいてもう一度婚約しようだなんて、自己中心的過ぎます。私の心は無視ですか。どうかしていますよ、そんなの」
「あーあー可愛いなぁ、そんなこと言って」
「ですから! やり直しなどお断りです!」
それでもレベクトゥスは粘ってきた。なかなか帰ってくれなかった。で、困ってしまったので、父を呼んで追い返してもらうことにした。私一人が言っていた時はレベクトゥスはなかなか去ってくれなかったけれど、父が言えばさすがに粘り切れず。ようやく去ってくれた。
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