上 下
2 / 2

後編

しおりを挟む
 ◆


 ルイトンとの婚約破棄から今日で二十年が経つ。

 私は今、時計の修理の店を営む夫と彼との子二人と共に、首都近くの自宅で忙しくも楽しく暮らしている。

 あれからも色々なことがあったけれど、嫌なことばかりではなく――いや、むしろ、良い思い出の方がたくさん増えた。

 そういえば。
 最近になって知人を通じてルイトンのその後について聞いたのだが。

 彼は私と別れてから、会社で働きつつ結婚したらしい。しかし、両方の生活からのストレスによって大量の酒を摂取するようになり、しまいには家族に当たり散らすようになったらしい。

 そして離婚となった。

 妻と子はとっとと出ていき、彼には慰謝料などの支払いの義務だけが残ったそうだ。

 寂しい状況になってしまった彼はさらに酒に依存するようになるが――酔っ払っている時に路上で馬車とぶつかってしまい、その際に負った傷によって落命してしまったそうだ。


◆終わり◆
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...