111 / 207
episode.110 死んだように眠り
しおりを挟む
その晩、私は死んだように眠った。
座り込んだ後、暫し泣き、それから何とか立ち上がって。そうして自室へ戻ると、ベッドに飛び込み。そのまま寝たのである。
優しいエトーリアがあんなこと言うなんて、信じたくなくて……。
気づけば、朝。
窓の外は晴れていた。
まだ重い体を起こし、組んだ両手を上へと伸ばして、背伸びをする。
太陽の光が降り注ぐ朝。こんな爽やかな朝は、いつ以来だろう。
もうずっと雨が続いていたから気も重かったが、晴れてくれれば、きっと心も爽やかになってくるはず。そう思ったが——そんなに簡単なことではなくて。
やはり、まだ、爽やかな気持ちにはなれそうにない。
こんなに心が重いのは、昨夜あんなことがあったせい?
……いや、違う。
多少は関係があるかもしれないけれど、エトーリアだけのせいではない。
あぁ、なんて惜しい朝。
空は晴れ渡り、私の心も晴れていたなら、きっと素晴らしい目覚めだっただろうに。
一人そんなことを考えていると、誰かが扉をノックしてきた。
「エアリお嬢様! いらっしゃいますか?」
バッサの声。
私は少し迷ったけれど、バッサなら問題はないだろうと思い、「入って」と言っておいた。
すると扉がゆっくり開き、バッサの張りのある顔が覗く。
「おはよう、バッサ」
明るい声で挨拶しておく。
無意味な心配をさせるわけにはいかないから。
「おはようございます。……ところでエアリお嬢様、どうかなさったのですか?」
「え?」
「朝食の時間にお見かけしなかったので……」
「えっ、もうそんな時間?」
まさかもう朝食が済んでいたなんて。正直、想定外だった。まだ朝早い時間だと思っていただけに、驚きを隠せない。
「そうですよ。今からお食べになります?」
どうしよう。
お腹はそんなに空いていないのだけれど。
でも、体調不良ではないのだから、食べないというのは少々不審かもしれない。
「……少しだけいただこうかしら」
だから私はこう答えた。
「いつもの食堂で? それともこちらで?」
「食堂にするわ。わざわざ持ってきてもらうのも申し訳ないし」
「承知しました」
バッサはそう言って、張りのある顔に愛嬌たっぷりの笑みを浮かべる。
しわはそれなりにあるし、若そうな顔というわけではないが、萎れきってはおらず。むしろ、若者より生き生きしているくらいだ。重ねた年が良い方に出ていると言えるだろう。
簡単に準備を済ませ、食堂へ向かう。
朝食は皆とうに済ませているからか、既に人気はなかった。
食堂にある椅子の一つに腰掛けていると、しばらくして、バッサが食事を運んできてくれる。
「お待たせしました」
「そんなに待っていないわ」
「そうでしたか?」
「えぇ、そうよ」
バッサが運んできてくれたお盆を受け取っていた、ちょうどその時。エトーリアとリゴールが並んで歩いてくるのが見えた。
二人に届かないくらいの小さな声で、バッサに尋ねる。
「あれは何?」
するとバッサは返す。
「え? あ、はい。朝食の後、少し話をするからと、お二人で食堂を出ていかれましたよ」
……嫌な予感しかしない。
昨夜私は、エトーリアとの話を、途中で切ってしまった。結果、意見が一致するところまでは話し合えていない。だから、エトーリアがリゴールに何か余計なことを言った可能性も、ゼロとは言えないだろう。
できれば、何でもない話であってほしいのだけれど。
そんなことを考えていると、偶々、歩いてくるリゴールと目が合った。
「おはようございます」
「……あ。お、おはよう」
リゴールは何事もなかったかのような自然な挨拶をしてくる。が、色々考えていたせいもあり、私は自然には返せなかった。だが、リゴールは気にしていないようで、穏やかに微笑む。
「起きられたのですね」
「えぇ」
「良かった。安心しました」
短い言葉を交わした後、リゴールはエトーリアに軽く頭を下げ、食堂から出ていく。
私としては彼に聞きたいことがいくつもあったのだが、それらを問う時間はなかった。
リゴールと別れたエトーリアは、静寂という単語の似合うような笑みを浮かべながら、穏やかな声で「おはよう、エアリ」と言ってくる。私は昨夜のことを気まずく思いながらも「おはよう」と返した。するとエトーリアは、隣の椅子に、ゆったりとした品のある所作で腰掛ける。
「……リゴールと何を話していたの?」
恐る恐る問いを放つと、彼女は目を僅かに伏せて答える。
「昨夜のことよ」
やはり。
あぁ、もう、どうして。
リゴールは自然に挨拶してくれたから、そのパターンは避けられたかもしれないと安易に考えた私が、どうしようもなく馬鹿だった。
「……余計なこと言ったんじゃないでしょうね」
無意識のうちに、声が低くなってしまう。
「余計なことは言っていないわ。もちろん、傷つけるような言い方もしていないわよ。ただ、『敵襲の可能性が低くなるまで、エアリとは距離をおいておいて』と伝えただけよ」
確かに、傷つくほど鋭い言い方ではなかったかもしれない。エトーリアは元々そんなに鋭い物言いをする人間ではないから、そこは、必要以上に心配することもないだろう。
ただ、少々直球過ぎやしないだろうか。
何でもぼかした言い方にすれば良い、というわけではないが、「もう少しどうにかならなかったの?」と思わずにいられない。
「エアリより、彼の方が、わたしの言いたいことをきちんと理解してくれたわ」
何それ、嫌み?
「とにかく、そういうことだから。だからエアリも、今日からは、彼に依存することなく生きるといいわ」
依存、なんて表現を使われ、複雑な心境。様々な色の絵の具を混ぜたような、心の色。言葉では上手く表せない心境で、けれども、それは確かに存在している。
遅めの朝食を終えた私は、一旦、部屋へ戻ることにした。が、その途中で、リゴールにばったり出会ってしまう。
今、一番会いたくない相手だ。しかし、真正面から歩いてこられると、無視するわけにはいかなくて。
「あ、エアリ。奇遇ですね」
「どこかへ行くところ?」
「はい。デスタンに会いに行こうかと」
リゴールが発するのは、控えめな声。
「私も行って構わない?」
「はい……あ。しかし……その、すみません」
凄まじく気まずそうな顔をされてしまった。
これもエトーリアの話ゆえだろうか。
「ねぇ、リゴール。少し質問しても構わないかしら」
「え? ……は、はい」
「母さんから何か言われた?」
勇気は必要だった。
けれど、何とか問うことができた。
「はい。少しお話はさせていただきました。あ! け、けど! おかしなことを言われたりはしていませんよ?」
リゴールは妙に饒舌。
何かあったことは確か、と考えて、問題ないだろう。
「母さんはリゴールのことを良く思っていないのかもしれない……でも、私はいつまでも、貴方と共にあるつもり。私の人生だもの、大切なことは私が決め——」
「お母様のお言葉、無視するべきではありません」
私が言い終わるより早く、リゴールは言葉を発した。
「えっ……」
「エアリのお母様は善良な方ですから、貴女に害があるようなことは仰いませんよ」
座り込んだ後、暫し泣き、それから何とか立ち上がって。そうして自室へ戻ると、ベッドに飛び込み。そのまま寝たのである。
優しいエトーリアがあんなこと言うなんて、信じたくなくて……。
気づけば、朝。
窓の外は晴れていた。
まだ重い体を起こし、組んだ両手を上へと伸ばして、背伸びをする。
太陽の光が降り注ぐ朝。こんな爽やかな朝は、いつ以来だろう。
もうずっと雨が続いていたから気も重かったが、晴れてくれれば、きっと心も爽やかになってくるはず。そう思ったが——そんなに簡単なことではなくて。
やはり、まだ、爽やかな気持ちにはなれそうにない。
こんなに心が重いのは、昨夜あんなことがあったせい?
……いや、違う。
多少は関係があるかもしれないけれど、エトーリアだけのせいではない。
あぁ、なんて惜しい朝。
空は晴れ渡り、私の心も晴れていたなら、きっと素晴らしい目覚めだっただろうに。
一人そんなことを考えていると、誰かが扉をノックしてきた。
「エアリお嬢様! いらっしゃいますか?」
バッサの声。
私は少し迷ったけれど、バッサなら問題はないだろうと思い、「入って」と言っておいた。
すると扉がゆっくり開き、バッサの張りのある顔が覗く。
「おはよう、バッサ」
明るい声で挨拶しておく。
無意味な心配をさせるわけにはいかないから。
「おはようございます。……ところでエアリお嬢様、どうかなさったのですか?」
「え?」
「朝食の時間にお見かけしなかったので……」
「えっ、もうそんな時間?」
まさかもう朝食が済んでいたなんて。正直、想定外だった。まだ朝早い時間だと思っていただけに、驚きを隠せない。
「そうですよ。今からお食べになります?」
どうしよう。
お腹はそんなに空いていないのだけれど。
でも、体調不良ではないのだから、食べないというのは少々不審かもしれない。
「……少しだけいただこうかしら」
だから私はこう答えた。
「いつもの食堂で? それともこちらで?」
「食堂にするわ。わざわざ持ってきてもらうのも申し訳ないし」
「承知しました」
バッサはそう言って、張りのある顔に愛嬌たっぷりの笑みを浮かべる。
しわはそれなりにあるし、若そうな顔というわけではないが、萎れきってはおらず。むしろ、若者より生き生きしているくらいだ。重ねた年が良い方に出ていると言えるだろう。
簡単に準備を済ませ、食堂へ向かう。
朝食は皆とうに済ませているからか、既に人気はなかった。
食堂にある椅子の一つに腰掛けていると、しばらくして、バッサが食事を運んできてくれる。
「お待たせしました」
「そんなに待っていないわ」
「そうでしたか?」
「えぇ、そうよ」
バッサが運んできてくれたお盆を受け取っていた、ちょうどその時。エトーリアとリゴールが並んで歩いてくるのが見えた。
二人に届かないくらいの小さな声で、バッサに尋ねる。
「あれは何?」
するとバッサは返す。
「え? あ、はい。朝食の後、少し話をするからと、お二人で食堂を出ていかれましたよ」
……嫌な予感しかしない。
昨夜私は、エトーリアとの話を、途中で切ってしまった。結果、意見が一致するところまでは話し合えていない。だから、エトーリアがリゴールに何か余計なことを言った可能性も、ゼロとは言えないだろう。
できれば、何でもない話であってほしいのだけれど。
そんなことを考えていると、偶々、歩いてくるリゴールと目が合った。
「おはようございます」
「……あ。お、おはよう」
リゴールは何事もなかったかのような自然な挨拶をしてくる。が、色々考えていたせいもあり、私は自然には返せなかった。だが、リゴールは気にしていないようで、穏やかに微笑む。
「起きられたのですね」
「えぇ」
「良かった。安心しました」
短い言葉を交わした後、リゴールはエトーリアに軽く頭を下げ、食堂から出ていく。
私としては彼に聞きたいことがいくつもあったのだが、それらを問う時間はなかった。
リゴールと別れたエトーリアは、静寂という単語の似合うような笑みを浮かべながら、穏やかな声で「おはよう、エアリ」と言ってくる。私は昨夜のことを気まずく思いながらも「おはよう」と返した。するとエトーリアは、隣の椅子に、ゆったりとした品のある所作で腰掛ける。
「……リゴールと何を話していたの?」
恐る恐る問いを放つと、彼女は目を僅かに伏せて答える。
「昨夜のことよ」
やはり。
あぁ、もう、どうして。
リゴールは自然に挨拶してくれたから、そのパターンは避けられたかもしれないと安易に考えた私が、どうしようもなく馬鹿だった。
「……余計なこと言ったんじゃないでしょうね」
無意識のうちに、声が低くなってしまう。
「余計なことは言っていないわ。もちろん、傷つけるような言い方もしていないわよ。ただ、『敵襲の可能性が低くなるまで、エアリとは距離をおいておいて』と伝えただけよ」
確かに、傷つくほど鋭い言い方ではなかったかもしれない。エトーリアは元々そんなに鋭い物言いをする人間ではないから、そこは、必要以上に心配することもないだろう。
ただ、少々直球過ぎやしないだろうか。
何でもぼかした言い方にすれば良い、というわけではないが、「もう少しどうにかならなかったの?」と思わずにいられない。
「エアリより、彼の方が、わたしの言いたいことをきちんと理解してくれたわ」
何それ、嫌み?
「とにかく、そういうことだから。だからエアリも、今日からは、彼に依存することなく生きるといいわ」
依存、なんて表現を使われ、複雑な心境。様々な色の絵の具を混ぜたような、心の色。言葉では上手く表せない心境で、けれども、それは確かに存在している。
遅めの朝食を終えた私は、一旦、部屋へ戻ることにした。が、その途中で、リゴールにばったり出会ってしまう。
今、一番会いたくない相手だ。しかし、真正面から歩いてこられると、無視するわけにはいかなくて。
「あ、エアリ。奇遇ですね」
「どこかへ行くところ?」
「はい。デスタンに会いに行こうかと」
リゴールが発するのは、控えめな声。
「私も行って構わない?」
「はい……あ。しかし……その、すみません」
凄まじく気まずそうな顔をされてしまった。
これもエトーリアの話ゆえだろうか。
「ねぇ、リゴール。少し質問しても構わないかしら」
「え? ……は、はい」
「母さんから何か言われた?」
勇気は必要だった。
けれど、何とか問うことができた。
「はい。少しお話はさせていただきました。あ! け、けど! おかしなことを言われたりはしていませんよ?」
リゴールは妙に饒舌。
何かあったことは確か、と考えて、問題ないだろう。
「母さんはリゴールのことを良く思っていないのかもしれない……でも、私はいつまでも、貴方と共にあるつもり。私の人生だもの、大切なことは私が決め——」
「お母様のお言葉、無視するべきではありません」
私が言い終わるより早く、リゴールは言葉を発した。
「えっ……」
「エアリのお母様は善良な方ですから、貴女に害があるようなことは仰いませんよ」
0
あなたにおすすめの小説
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】
ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る――
※他サイトでも投稿中
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
【コミカライズ決定】魔力ゼロの子爵令嬢は王太子殿下のキス係
ayame@アンジェリカ書籍化決定
恋愛
【ネトコン12受賞&コミカライズ決定です!】私、ユーファミア・リブレは、魔力が溢れるこの世界で、子爵家という貴族の一員でありながら魔力を持たずに生まれた。平民でも貴族でも、程度の差はあれど、誰もが有しているはずの魔力がゼロ。けれど優しい両親と歳の離れた後継ぎの弟に囲まれ、贅沢ではないものの、それなりに幸せな暮らしを送っていた。そんなささやかな生活も、12歳のとき父が災害に巻き込まれて亡くなったことで一変する。領地を復興させるにも先立つものがなく、没落を覚悟したそのとき、王家から思わぬ打診を受けた。高すぎる魔力のせいで身体に異常をきたしているカーティス王太子殿下の治療に協力してほしいというものだ。魔力ゼロの自分は役立たずでこのまま穀潰し生活を送るか修道院にでも入るしかない立場。家族と領民を守れるならと申し出を受け、王宮に伺候した私。そして告げられた仕事内容は、カーティス王太子殿下の体内で暴走する魔力をキスを通して吸収する役目だったーーー。_______________
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる