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後編

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 ◆


 あれから三年、私は今も冒険者の夫と共に暮らしている。

 彼との関係は良好。
 良き友として、そして夫婦として、特別な関係を築けている。

「あ! おかえりなさ~い」
「ただいま!」

 彼は毎日忙しそうだけれど、それでも、彼と夫婦でいられるということは何よりも嬉しいことだ。

 帰りを待っている時には時には不安にもなる。
 でも彼が帰ってきたら自然と笑顔になれる。

「昨日言ってた傷は大丈夫なの?」
「うん」
「そう、ならいいけど……」
「心配してくれているんだね?」
「ええ」
「それは嬉しいな! ありがとう! でも大丈夫だよそう易々とはくたばらないよ」
「そうそう、そういえばさ――」

 その日、私は夫から聞いた。

 かつて私を切り捨てた男性レーガが住んでいる村が魔物の群れに襲われたことを。

 彼は婚約者がいる身でありながらその夜は浮気相手の女性と自室でいちゃついていたそうだが、その最中に魔物の群れが侵入してきて、それらによって女性もろとも殺められてしまったそうだ。

 夜に魔物に襲われるなんて恐ろしい……。

 でも、正直、そこまで気の毒だとは思えない。
 なぜだろう。
 婚約者がいる身で他の女性と仲良くしていたという情報があるからだろうか。


◆終わり◆
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