婚約破棄されても泣きません。前向きに生きていきます。

婚約破棄されても泣きません。前向きに生きていきます。

「君との婚約を破棄させてもらうことにしたよ」

　婚約者ヴェルガングローケンからある日突然告げられた。

「え……なぜ……？」
「君とはやっていけない、そう確信したんだ」
「そんな……」

　急過ぎて少し動揺。

「そもそもさ、君は地味なんだよ。外見も、心も、ね。だから昂らない。君といて良かったと感じられることなんて少しもない。だからもう終わりにすることにしたんだ。君だってその方が幸せだよね」

　そんなことを言われ、私たちの関係は終わった。

　残念ではあるけれど仕方のないことだ。


　◆


　数年後、私は隣国の王子と結婚し、その国で未来の王妃となることが約束された。
　今はこちらの国での仕事を学んでいる。
　毎日はとても楽しい。忙しくもあるけれど、それでも、この道を選んだことを後悔する瞬間はない。

　ちなみに。

　ヴェルガングローケンはあの後馬車の事故で身動きの取れない身体になってしまったらしい。


◆終わり◆