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前編
しおりを挟む私の婚約者リルスは浮気が多い。
「ごめんって~、もうしないって~、それに! 君が一番だからさっ」
浮気がばれた時、彼はいつもそんなことを言う。
でも正直あり得ないと思ってしまう。
まずへらへらしているのが許せない。
「そう言うのは何度目かしら」
「ええ~? 初めてだよ~?」
「五回目よ! 五回目! 忘れたの!?」
「えへへ~、忘れちゃったぁ~」
これまでは謝罪を受けて許してきた。
でももう許すことはできない!
だってこれでもう五回目だ――それも婚約から半年も経っていないのに。
「もう限界よ! 婚約は破棄するわ!」
「ええっ!?」
「何驚いているのよ」
ここまで強く言っても治らないというのは、もはや、浮気する病のようなものなのだろう。ならば注意など意味はないのかもしれない。それに対処する方法は、別れること、これしかない。
「耐えられないわ」
「そんなぁ! 酷いよ!」
「酷いのはそっちでしょう!!」
「捨てるの~!? 酷い、酷すぎるよ! ちょっとした失敗で捨てるなんて~!」
「ちょっとした? 呆れるわ。五回も裏切っておいて」
これまで許してきたのがまずかったのだろう。
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