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ある春の日、婚約者が女性を自室へ連れ込んでいました。~そんなことをする人とは共には生きてゆけません~
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婚約者ロバーズが浮気していたことが判明した。
ある春の日。
ふと思い立って彼に会いに行ったのだが、彼が見知らぬ女性といちゃついているところを見てしまったのだ。
「ね~ぇ、もっとぉ、大胆でいいのにぃ」
「好きだからこそ照れるんだよぉ」
「んもぉ~! かぁわぁい~い~! ロバーズったらぁ~」
「魅力的な女性と触れ合うと照れるものなんだよ、男は」
二人はロバーズの自室にこもり薄着になって腕と腕を絡め合っている。
「んふふぅ~! すっきぃ~! 好き好き好き好き大好きなのぉ、大好きなのよぉ、んもぉロバーズ大好きぃ~! 好きよぉ~、んもぉほんとぉ、すっきぃ~! ちゅきちゅきちゅきぃ、だいちゅきなのぉ~! うふふぅ、大好きなのぉ~!」
そんな姿を見せられては黙ってはいられない。
躊躇いつつも勢いよく扉を開ける。
ばぁん、と、豪快な大きな音がしたけれど、今はそんなことを気にしている余裕はない。
「ロバーズ! 何してるの!」
思いきって突撃。
「ぇ……」
まさかの展開に青ざめるロバーズ。
「な、なんで……どうしてお前が、こんなところに……」
「どうして? 婚約者だもの、訪問するくらい普通じゃない」
「ふざけるなよ!」
「それに、前に取り決めしたじゃない。お互いの家には自由に行けることねって」
ロバーズの横にいる女性は「うそぉ。なーんかこれ、めんどくさぁい」と呟いていた。
「おっ……おかしい、だろっ! 勝手に入ってくるとか! お、おかっ、おか、おかっ……おか、お、かかっ……おかし、し、おかし、いだろっ! 不法侵入だろ! 不法侵入だっ! 不法侵入だろ、だろが、だろっ……なんて女だ! おかしいだろおかしいだろ、お、おかっ……おか、しいっ……お、おか、おっ……おかしい、だろ……おかしいおかしいおかしいだろぉっ!」
自室に異性を連れ込み、薄着になっていちゃつき、好きと言い合う。
自分の婚約者がそんなことをしているなんて耐えられない。
「私、貴方との婚約は破棄するから」
生きることは我慢すること。
そう言う者もいる。
けれどもこちらも人間である以上我慢するにも限界がある。
「慰謝料は払ってもらうから。そこは覚悟しておいてちょうだいね」
「ええ!? ムリ! ムリムリムリムリムリ! そんなムチャな話は受け入れられない!」
「貴方には選択権はないわ」
「えええーっ」
「浮気したのはそちら。非があるのはそちらよ。だから……覚悟しておいて」
その後正式に婚約は破棄とした。
ロバーズからも。
浮気相手の女性からも。
慰謝料はしっかりともぎ取った。
そして、それによって、私たちの関係は終わりを迎えた。
もやもやすること。イライラすること。色々あるけれど、過去のものは過去のものとして流して歩んでいきたい。どんなことも、すぐには無理でも、いつかは過去にしてしまえば良いのだ。
◆
あの後、ロバーズと女性の関係は呆気なく消滅したようだ。
というのも慰謝料支払い関連で揉めたそうなのだ。
しかも両家の親も巻き込む揉め事。
そんなこともあり、二人の関係は、面白いくらいあっさりと終わりを迎えたようである。
結局、二人とも、そこまで真剣には付き合っていなかったのだろう。
ちなみに私はというと。
婚約破棄事件の後に知り合った同じ年の青年と仲良くなっていて、少しずつ未来について考え始めているところだ。
今はまだ芽生え始めたばかりの関係だけれど。
大切に育ててゆきたい。
◆終わり◆
ある春の日。
ふと思い立って彼に会いに行ったのだが、彼が見知らぬ女性といちゃついているところを見てしまったのだ。
「ね~ぇ、もっとぉ、大胆でいいのにぃ」
「好きだからこそ照れるんだよぉ」
「んもぉ~! かぁわぁい~い~! ロバーズったらぁ~」
「魅力的な女性と触れ合うと照れるものなんだよ、男は」
二人はロバーズの自室にこもり薄着になって腕と腕を絡め合っている。
「んふふぅ~! すっきぃ~! 好き好き好き好き大好きなのぉ、大好きなのよぉ、んもぉロバーズ大好きぃ~! 好きよぉ~、んもぉほんとぉ、すっきぃ~! ちゅきちゅきちゅきぃ、だいちゅきなのぉ~! うふふぅ、大好きなのぉ~!」
そんな姿を見せられては黙ってはいられない。
躊躇いつつも勢いよく扉を開ける。
ばぁん、と、豪快な大きな音がしたけれど、今はそんなことを気にしている余裕はない。
「ロバーズ! 何してるの!」
思いきって突撃。
「ぇ……」
まさかの展開に青ざめるロバーズ。
「な、なんで……どうしてお前が、こんなところに……」
「どうして? 婚約者だもの、訪問するくらい普通じゃない」
「ふざけるなよ!」
「それに、前に取り決めしたじゃない。お互いの家には自由に行けることねって」
ロバーズの横にいる女性は「うそぉ。なーんかこれ、めんどくさぁい」と呟いていた。
「おっ……おかしい、だろっ! 勝手に入ってくるとか! お、おかっ、おか、おかっ……おか、お、かかっ……おかし、し、おかし、いだろっ! 不法侵入だろ! 不法侵入だっ! 不法侵入だろ、だろが、だろっ……なんて女だ! おかしいだろおかしいだろ、お、おかっ……おか、しいっ……お、おか、おっ……おかしい、だろ……おかしいおかしいおかしいだろぉっ!」
自室に異性を連れ込み、薄着になっていちゃつき、好きと言い合う。
自分の婚約者がそんなことをしているなんて耐えられない。
「私、貴方との婚約は破棄するから」
生きることは我慢すること。
そう言う者もいる。
けれどもこちらも人間である以上我慢するにも限界がある。
「慰謝料は払ってもらうから。そこは覚悟しておいてちょうだいね」
「ええ!? ムリ! ムリムリムリムリムリ! そんなムチャな話は受け入れられない!」
「貴方には選択権はないわ」
「えええーっ」
「浮気したのはそちら。非があるのはそちらよ。だから……覚悟しておいて」
その後正式に婚約は破棄とした。
ロバーズからも。
浮気相手の女性からも。
慰謝料はしっかりともぎ取った。
そして、それによって、私たちの関係は終わりを迎えた。
もやもやすること。イライラすること。色々あるけれど、過去のものは過去のものとして流して歩んでいきたい。どんなことも、すぐには無理でも、いつかは過去にしてしまえば良いのだ。
◆
あの後、ロバーズと女性の関係は呆気なく消滅したようだ。
というのも慰謝料支払い関連で揉めたそうなのだ。
しかも両家の親も巻き込む揉め事。
そんなこともあり、二人の関係は、面白いくらいあっさりと終わりを迎えたようである。
結局、二人とも、そこまで真剣には付き合っていなかったのだろう。
ちなみに私はというと。
婚約破棄事件の後に知り合った同じ年の青年と仲良くなっていて、少しずつ未来について考え始めているところだ。
今はまだ芽生え始めたばかりの関係だけれど。
大切に育ててゆきたい。
◆終わり◆
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