異世界恋愛短編集 ~婚約破棄されても幸せになることはできます~

四季

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ちょこっとひとやすみ? 詩のコーナー

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『確かな心なら』

愛してるなんて言えるほど
あなたの傍にいたわけじゃないけれど
今なら笑って言える気がする
好きだったって
大切だったって

愛してるなんて言えるほど
あなたと分かり合えていたわけじゃないけれど
今なら素直に言える気がする
特別だったって
唯一だったって

あの頃は言えなかったこと
あの時は言えなかったこと
たくさんあった
ただ勇気がなくて
ただ思いきれなくて
黙ってしまうことも多かったけれど

今なら言えるかな?

……なんて

あれこれ思ったりしながら

今を生きているけれど
時に振り返ることもある

懐かしい日々
懐かしいあの頃

たくさんの思い出に
想いを馳せながら

愛してるなんて言えるほど
あなたの傍にいたわけじゃないけれど
今なら笑って言える気がする
好きだったって
大切だったって

なぜなら
それは確かな心だから



『さよなら』

シャーベットみたいに溶けていった
わたしとあなたの時間
わたしとあなたの関係
確かなものに見えていたのに
その先に道はなくて
あまりにも寂しいさよなら
あまりにも悲しいさよなら
別れを告げることさえできないまま
時だけが流れてゆく

シャーベットのように口の中で溶かせたなら
こんな気持ちになることなんて
きっとなかっただろうなって
苦しみも痛みも涙も
どれも降りかからなかったのだろうなって
思いながら
それでも今日を
生きてゆく
生きてゆく
時だけが平等に流れる

淡い期待は
裏切られ
溶けて消えた
雪のように
寂しさの輪郭だけを遺して
明日への期待を
僅かに芽生えさせながら
また
淡く溶かしてゆく
春が来る前に
冬が去るように

ああ……

シャーベットみたいに溶けていった

愛していたことも
愛しく感じていたことも
雪どけのように
すべては無となって

新しい日射しの下で
新しい芽生えが訪れる日まで

シャーベットのように溶けていった

さよなら
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