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3話「悪女でも構いません」

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 ◆


 あれからどのくらい月日が流れただろう?

 もう数えられない。
 もはや思い出せない。

 ただ、私は魔王として、日々戦いの指示を出している。

 ちなみに、元婚約者の彼エブシリンは、魔王城内にて亡くなった。

 不思議に思うだろうか?
 人間なのになぜ魔王城で、と。

 ――そう、彼に関しては私が拘束命令を出したのだ。

 たとえ悪女と言われようとも、私は彼に何らかの形で返したかった。

 二度と現れるな、とまで、彼は言った。
 その恨みはそう易々とは消えない。

 そういう事情もあり、魔王城の地下牢に入れられたエブシリン。数週間にわたって罰という名の拷問を受けた後に、弱い防御力向上魔法をかけられて、魔界一熱く深い海と言われる『炎海』へ沈められた。

 弱い防御力向上魔法をかけたのは即死しないようにするため。

 彼は、炎海の中で長く苦しんだ後、肉体ごと消滅。
 骨の欠片一つも遺さず生を終えた。

 それからも私はいくつもの人の世を滅ぼし、今では人々から恐れられる魔王となっている。

 人は私を悪女と呼ぶだろう。
 けれどもそれでも構わない。
 悪も善も人が自身の判断で勝手に決めるだけのものだから。


◆終わり◆
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