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後編
しおりを挟む私を馬鹿にしているのは、オードレー、彼一人だけではない。
彼に加えて、その隣の女性も。
切り捨てられる側という意味で私を低級な人間だと捉えているのだろう。
そうでなければこんな冷ややかな笑い声なんてこぼせないはず。
――ならば教えて差し上げよう、私の本当の怖さを。
心の中で何かが砕けて。
次の瞬間発動される魔法。
「な、な、何だァッ!?」
魔法発動まで一分もない。
そのことに気づいたオードレーは顔を引きつらせるけれど、もはや手遅れ。
もう止められない。
もう逃れることはできない。
――そうよ、私の魔法は誰も回避できないの。
「ちょ、ちょっと……オードレー? これ一体何よ、どういうことなのよ……? この娘魔法使いだなんて聞いてな――」
間もなく、すべてが解放される。
「マーガレッタ! 伏せろ!」
我が偉大なる魔法の前では誰もが消し炭になるのだ。
「うぐぎぇやあああぁぁぁぁ!!」
「んほぅみゅぃゃぁきゅぅいあああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
オードレーとマーガレッタは仲良くあの世逝き。
これでもう私は二人の顔を見なくて済む。
それだけでも心が軽くなった気がした。
「……旅にでも、出ようかな」
◆
あれから数年、私は大陸でかなり有名な魔法使いとなった。
皆私を称賛する。
偉大なる魔女と。
――そうね、私はきっと死ぬまで魔女よ。
オードレーとマーガレッタを殺めた。
一撃で吹き飛ばし跡形もなく消し去った。
それが善良な行為だったとは言わない。
けれども私は前を向いて生きてゆく。
過去はもう振り返らない。
それにあの時二人を消したことを後悔してもいない。
ただ、これからも私はきっと、大切な人たちのために戦い敵を倒して生きてゆくだろう。
◆終わり◆
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