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婚約破棄を告げられた帰り道、私はアレになりました。

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「君との婚約は破棄とする!」

 そう告げられて追い出されたその日の帰り道、私は突如猫になった。

 人間だったはずなのに気づけば猫。自分で自分を見ても、明らかに猫。今まで人間だったことは確かなのに、今はこれまた確かに猫の姿なのだ。

 その後私は優しい女性に拾われ、彼女の飼い猫として暮らした。

 その毎日はとても幸せだった。
 何より優しかった。

 それから十年ほどが経った頃、私は、元婚約者の彼について耳にする機会があったのだが。

 彼はどうやら幸せにはなれなかったようだ。

 彼の母が茶会メンバー内でのいじめによって心を病み自殺。その後、妻を失った悲しみによって、彼の父は大量の酒を煽るようになる。家で暴れることもあったらしい。そんなある日、彼の父は突然倒れ、そのまま還らぬ人となる。

 それらの出来事によって元婚約者の彼はその時の婚約者から不気味がられ、婚約破棄されてしまったそうで。

 そのショックで彼自身も自ら命を絶ったそうだ。


◆終わり◆
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