勇者に差し出された王女は逃げることを選びました。そして戦いは再び幕開けることとなったのです。

四季

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前編

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 私は国王の娘。

 つまり王女。

 しかし人権はないも同然。
 先日、国を魔王軍から護ったとされる勇者アボトガと、強制的に婚約させられた。

 父は私を道具としてしか見ていなかったのだと思い知らされた。

「なぁ~プリンセス? あんたさぁ、もうちょっとまともに奉仕できねぇのか? おらぁ国を護った英雄様だぞ?」
「そのような行為はまだ早いのではないでしょうか」
「は? 調子乗り過ぎだろ? 王女だからってお高くとまってんじゃねーよ。ばーか、ばーか、ばーか」

 アボトガは強いのかもしれない。
 しかし性格は最悪だ。
 特に、女性を遊びの道具のようにしか見ていないあたりが、非常に嫌。

「アボトガ様ァ! あんな女放っておいて、あたしと遊びましょうよぉ」
「あんた、ちょっと、抜け駆けしないでよっ」
「あちゃしねぇ~アボトガ様だいしゅきぃ~一番じゃなくてもいいから可愛がっちぇえ~」

 この取り巻きの女たち。
 彼女らの言動もアボトガを勘違いさせているのだろう。

 彼が「女は放っていても寄ってきて奉仕するもの」と考えているのも、取り巻きたちのせいかもしれない。

 もうここにはいられない。
 ここにいてはどうにかなってしまう。

 そう思って。

 私はある晩こっそり彼の前から去った。

 直後、魔王軍から接触があった。
 魔王が妻を探しているらしい。
 で、王女である私に話が来たようだ。

 一度は戦った国へ行くことが正しいのかは分からなかったけれど、行くあてもなかった私は、その話に乗ることにした。

 こんな機会はない、と思ったから。

 魔王のもとへ行き、たとえ酷い目に遭ったとしても……あんな臭いアボトガのところにいるよりはずっとましだ。
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