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前編
しおりを挟む「俺は決めた! 愛する人と結婚するんだ!」
ある日突然そんなことを言い出したのは、私の婚約者オルゲイツ。
彼は瞳を燃やしている。
熱血少年のように。
暑苦しいと思ってしまうほどに。
「……今、何て?」
「愛する人と結婚する、って言ったんだ!」
「それはつまり」
「ああ! そうだ! お前との婚約は破棄とする!!」
普通にトランプをしていたのにいきなりそんなことを言われたものだからかなり驚いた。
いや、さっきまで普通に遊んでいたわよね?
ついそんな風に思ってしまう。
突っ込みどころが多すぎる。
でも逆に多すぎてどこから突っ込めば良いのか分からない。
「婚約を破棄するの」
「ああ!」
「で、他の誰かと」
「そうだ! 俺には愛している人がいる! だから彼女と結婚する!」
「……本気?」
「もちろん! 俺は嘘などつかない!」
「その女性というのは――」
「既に深い仲になっているんだ! 日々愛し合っている! そして、共に生きていこうと喋っているんだ!」
……婚約者がいる身で何をしているのか。
「隠していたのね、その人のこと」
意地悪に言ってやる。
せめてもの仕返しだ。
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