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7話「前向きに、未来へ」
しおりを挟むあの後、カイルとマリッタは、慰謝料を支払わなくてはならないこととなった。
それによって二人は喧嘩になったようで。
それから少しして、カイルはマリッタの親から縁を切ると告げられてしまったそうだ。
そうして二人の縁は切れることとなったそう。
あそこまで深い関係になっていたというのに――その最期は呆気ないものだったようだ。
ただ、それ以降マリッタは親から厳しくあれこれ言われるようになったうえ家に監禁に近い状態で置かれることとなり、そんな環境の中で彼女は段々心を病んでいったそうだ。で、かなり情緒不安定になって。ある時は急に号泣し、ある時は急に激怒して暴れ回り、といったような状態となってしまったそうだ。
一方カイルはというと、マリッタに会えなくなったことで生きる意味を見出せなくなり、自室にこもって滅多に出てこないようになってしまったのだとか。で、そこで何度も自殺未遂を繰り返して。でも死ぬこともできず、暗く暗く生きてゆくこととなったそうだ。
ま、でも、二人に関しては自業自得だろう。
ただ、カイルの母親が「うちの息子婚約破棄されてやんの、恥ずかしいわぁ~やめてほしいわぁ~」と言っていたことだけは、少々可哀想な気もした。
親でそれか、と。
もっと言うべきことがあるのではないのか、と思ってしまった。
だがそんなことはもうアイトレッタには何の関係もないことだ。
アイトレッタは――そして私も――新しい道へと歩み出す。
「結婚式……緊張、しますね」
もうすぐ結婚式が始まる。
新たなる始まりを告げる鐘がもうじき鳴り響くのだ。
「タラン、大丈夫?」
「うう……ちょっと、胃が……」
「大丈夫じゃなさそうね」
「うん……ちょっと……って、そんなことを言ってる場合じゃない! アイトレッタさんの夫になるんだから、もっと強く生きないと!」
「力まないで、自然にね」
意外な今となったが、まぁ、これもまた人生だろう。
「大丈夫、きっと上手くいくわ」
「うん! ありがとうアイトレッタさん! ちょっと元気になってきたよ」
「本当?」
「もちろん! ……楽しみだね、ワクワクする」
むしろここからがスタート。
タランと共に、明るい未来へと歩み出さなければ。
◆終わり◆
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