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3話
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あの婚約破棄から数年、私は良家の子息と結婚した。
夫となった彼はウシュラーよりも良い家柄の子息。けれども彼もその両親も悪い人ではなかった。二度目、同じようなことを繰り返すことにはならなかった。それどころか、彼らはとても善良で、心が綺麗な人たちであった。
特に彼の母親は私を実の娘であるかのように可愛がってくれて。
第一声「娘が欲しかったの! 来てくれて嬉しいわ、ありがとう!」だったのには驚いたけれど。
ただその言葉に偽りはなく。
彼女は今に至るまでずっと本当に私のことを大切にしてくれているし可愛がってくれている。
「ねぇウリスちゃん! ちょっと一緒に買い物とか……どうかしら?」
「あ、私で良ければ行きますよ」
「本当!? うふふ、嬉しいわ。じゃあ一緒に行きましょうっ?」
「はい、お願いします」
「んもぉーっ、もっと親しげに喋ってくれていいのよ? ね? ね?」
「あ、はい」
私は今、とても幸せ。
良き夫と巡り会えて。
可愛がってくれる人とも楽しく過ごせて。
こんなに嬉しいことはない。
ちなみにウシュラーの家族はというとあの後皆滅んだようだ。
ウシュラーの母親はあの後少々過激な思想に傾倒していったそうで、組織に入り、持っていたお金も大量にそこへつぎ込んだ。その結果貧しくなってしまって、その件で家族内にて孤立するウシュラーの母親。まともな生活ができなくなる時が来てようやく男二人が動き出したようなのだ。
で、最終的には、ウシュラーの母親は夫から離婚を言いわたされたそう。
それで彼女は一人ぼっちになってしまう。
孤独になった彼女はより一層思想に傾倒してゆき、その結果、数名を死傷させる大事件を起こして逮捕され処刑されたらしい。
また、ウシュラーとその父親も、持っていた資産を使い込まれていたために貧しさに喘ぐこととなり、それに耐えきれずやがて死を選んだそうだ。
二人で同時に死を選んだらしい。
恐ろしいことだ、父息子で共に自ら死を選ぶなんて……。
だがもはや私は無関係。
彼らがどうなろうともどうでもいい。
私は今手にしている幸せの花を大切に抱き締めて生きてゆくだけだ。
◆終わり◆
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