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後編
しおりを挟む「相変わらず隙間入ってんのか?」
「うん、入ってる」
「おお……すげえな、今も隙間に入ってるとか」
「駄目かな?」
「いやべつにいいだろ、誰にも迷惑かけてないし」
再会した私たちが惹かれ合うのに時間はそうかからなかった。
ずっと離れていたけれど。
彼となら昔のように笑い合えた。
何も変わっていない。
「変人って呼ばれていたの」
「変人?」
「ええ……まぁ、でも、その人からはこの前婚約破棄を告げられたのだけれどね。もう終わってしまったのよね……」
フィッセと話している時だけは心に波が立たない状態を保てる。
穏やかに。
静かに。
楽しさを感じることができる。
私にとって彼は特別な人。
かつては純粋に一緒にいて楽しい友人だったけれど、今はそれ以上のものを感じられる気がして。
でもきっと彼はそんなことは思っていないのだろうな……、と思って自分を自制しようとしていた。
――のだが。
「そっか。でも、婚約破棄されたなら良かった!」
「え?」
「実はさ、一緒になりたいなーって思っててさ」
「ど……どういう、こと……?」
嘘みたいな。
信じられない。
――そんな現実!?
「結婚しようぜ!」
「えええええええッ!!!?」
こうして再会した私たちは、結婚した。
リーゼンなんてどうでもいい。
私はフィッセと歩んでゆきたい。
「これからまたよろしくな!」
「そうね」
「あ、大丈夫か? 嫌じゃないか?」
「嫌じゃないわ……っていうか、嬉しいの。とっても嬉しいわ」
「そりゃ良かった! 嬉しいなっ」
夫がフィッセなら、これからも隙間に入ることができそうだ。
これは嬉しい。
多少変人だと思われたとしても、趣味をある程度認めてもらえるならそれでいい。
こうして私は幸福を手に入れられたのだが、一方で、リーゼンは残念なことになってしまったようだ。
彼は私を捨てた直後からやたらと災難に見舞われるようになったようで、小さな怪我を一日に百回してしまったり毎週風邪を引いて寝込んだりするようになって――その結果すっかり弱ってしまったそう。
で、今は、一日中ベッドの上でじっとしていることしかできないような状態だそうだ。
お出掛けすることなどできない。美味しいものを食べることもできず、誰かと喋ることもできず、趣味に打ち込むこともできない。もちろん恋だってできないし、結婚なんてもっと無理。
そんな状態で生きるしかないリーゼンである。
◆終わり◆
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